「前川氏授業 2議員の照会認める 文科相「添削は2カ所」」

以下、毎日新聞2018年3月20日 11時24分(最終更新 3月20日 12時12分)より。

 文部科学省前川喜平・前事務次官の授業内容について名古屋市教育委員会に報告を求めた問題で、林芳正文科相は20日の閣議後記者会見で、事前に自民党池田佳隆衆院議員と赤池誠章参院議員から複数回照会があったと認め、池田氏の添削で質問項目を2カ所修正したことを明らかにした。一方で「問い合わせや質問の修正は省の主体的な判断で行った。議員の指示ではない」と述べ、教育への政治家の介入にあたらないとの見方を示した。

 林氏によると、中日新聞が前川氏の市立中での授業を報じた2月17日、自民党文科部会長の赤池氏から文科省の藤原誠官房長に「内容を確認してみてはどうか」と連絡があり、同19日に文科部会長代理の池田氏から記事の提供を受けた。文科省は市教委に電話で授業内容を確認し、同20日に赤池氏、同22日に池田氏に報告した。

 今月1日に市教委に授業の報告を求めるメールを送信する直前、池田氏に質問項目を見せ、2カ所についてコメントされたのを「参考にして修正した」という。見せた理由について林氏は「記事の提供を受けるなどの経緯の中で丁寧に対応した」と説明したが、林氏が池田氏のコメントを受けて質問を修正したと報告を受けたのは、この問題が明らかになって4日後の19日だった。

 林氏は「与党として意見を申し上げることはよくある。最終的には行政が判断することだ」と述べ、両氏とのやり取りは省の判断に影響はなかったとの認識を重ねて示した。【伊澤拓也】

赤池氏は圧力否定

 赤池氏は20日午前の自民党文科部会終了後、報道陣の取材に応じ「法令違反をした人が正式な授業で話すのに問題はないか確認した」と説明し、「各省庁に照会して事実確認を求めるのは日常業務の一環。圧力に当たらない。ただ、もう少し慎重にすべきだったところもある」と述べた。

 赤池氏によると、先月17日に池田氏から前川氏の授業の記事への意見を求められ、藤原官房長にショートメッセージで、授業に問題がないか確認した。文科省が市教委に報告を求めたメールの内容を今月2日に知り「誤解を招きかねない」と高橋道和・初等中等教育局長に電話したという。

 池田氏は20日の文科部会を欠席した。19日に赤池氏と電話で話した際には、質問事項について「(文科省に)一切、指示はしていない」と話したという。赤池氏は「池田氏文科省のやり取りは2回。執拗(しつよう)に複数回の圧力をかけるようなやり取りでない」と述べた。【水戸健一、神足俊輔】