「前川前次官の授業に“圧力”をかけたのは日本会議系の自民党「魔の3回生」」


以下、AERA dot(2018.3.19 19:08)より。

 前川喜平・前文部科学事務次官名古屋市の公立中学校で授業をしたことに対し、文科省が同市の教育委員会に経緯の報告や録音データの提供を求めていた問題の“元凶”が明らかになってきた。

 市教委は文科省からの不当な要求をつっぱねたが、調査内容の文言には「天下り問題により辞職」「出会い系バーの店を利用」など前川氏を個人攻撃するような文言も含んでおり、「官僚の作る文章ではない。政治家が関与しているのではないか」(霞が関官僚)と疑われてきた。

 では、その犯人は誰か。すでに国会では公然とその名前が語られている。

 ある野党議員は言う。

「愛知県選出のA議員が文科省に問い合わせたと言われている。自民党の部会でも前川さんの授業の話が出たと言われており、他にも関与した自民議員がいるようです」

 A議員は2012年初当選組の一人。国会議員の育児休暇取得を訴えながら、妻の妊娠中に不倫をして辞職した宮崎謙介元衆院議員、「このハゲーー!」で有名になった豊田真由子衆院議員らと同期だ。当時は「魔の2回生」と呼ばれたが、A議員は昨年10月の衆院選で当選し、3回生になった。

 日本会議国会議員懇談会に所属する保守系議員で、選挙ではアベノミクスを宣伝。安倍晋三首相の思想にぴったりと寄り添う「安倍チルドレン」の一人だ。

 19日に国会で開かれた野党によるヒアリング調査では、A議員がいつ、どのような内容で文科省に問い合わせたかについて質問が相次いだ。最初に問い合わせがあったのは2月17日であることは認めたものの、その日は土曜日。一般人が文科省の職員に問い合わせることはできない。

 野党議員からは「政治家しかいないでしょう」と追及を受けたが、文科省は「回答は控えさせていただきます」と答えるのみだった。

 前川氏は19日に書面でコメントをこう発表した。

文部科学省がこのようなことを自ら行うとは考えられないため、外部から何らかの強い政治的な働きかけがあったのだと思います。(中略)本来、教育に対する政治の不当な介入を阻む役割を負う文部科学省が、逆にそうした政治の加入に屈してしまったことは残念に思います」

 文科省への“圧力”について、AERA dot.編集部はA議員事務所に繰り返し連絡を入れたが、つながらなかった。「美しい国」を作ることを目指す政治家であるなら、正々堂々と自らの主張を述べればいいではないか。(AERA dot. 西岡千史)