以下、朝日新聞デジタル版(2018年11月6日07時18分)から。
スバルの検査不正がまた拡大した。安全性能にかかわる出荷前のブレーキ検査などの不正を公表した後も、同じ不正が続いていたことが発覚。組織の自浄能力が働いておらず、ガバナンス(企業統治)の甘さを露呈した。現経営陣の責任が問われるのは必至だ。「安心と愉(たの)しさ」。スバルブランドを支えてきたスローガンへの信頼は地に落ちかけている。
2019年3月期の業績予想もこの日下方修正した。営業利益、純利益ともに8月時点の予想を2割以上下回る見通しだ。約10万台の追加リコールの費用として約65億円を計上。検査不正をめぐるリコール費用は、18年3月期に計上した約250億円とあわせて300億円以上にのぼる。品質問題の拡大につれて、業績への悪影響も大きくなってきた。
検査の適正化に向けた減産も余儀なくされた。19年3月期の生産計画を約1万6千台減らして、約65万6千台とする。検査員の負担を減らすため、残業時間の削減や、検査スピードの緩和などを検討する。再発防止策の中で緊急性が高いものが出てくれば、「生産ラインを止めてでもやる」(中村氏)という。
バルブスプリングというエンジン部品の不具合により、国内外で41万台のリコールも1日に発表したばかり。この改修費用に550億円かかる見通しも示した。「(交換は)1年で終わらせたい」(大崎篤常務執行役員)としているが、順調に進むかは不透明だ。
スバルは、独自の安全支援システム「アイサイト」で北米市場を中心に販売を伸ばし、16年に日米あわせた世界生産台数が初めて100万台を突破したが、「急成長によるひずみが出た」(中村氏)。10%以上の高い営業利益率を誇ってきたが、一連の品質問題の影響で19年3月期は6・85%に落ち込む見通しだ。株価も下がっており、5日の終値は先週末より153円(5・0%)安い2895円。年初来安値を更新した。
(後略)