以下、朝日新聞デジタル版(2020/1/26 20:04)から。
中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を受け、中国政府の指示で中国からの団体ツアー旅行が27日から一時禁止とされ、日本国内の観光関連業界に不安の声が広がっている。インバウンド(訪日外国人客)による消費はホテルや百貨店の収益の柱になっており、なかでも中国は最大の顧客だ。稼ぎ時の春節(旧正月)時期のツアー中止は各社の売り上げにも打撃になりかねない。
団体旅行などの禁止が決まり、中国人宿泊客が多い大阪・難波のビジネスホテルでは26日、キャンセルの連絡が相次いだ。従業員の一人は「うちは中国人客がメインなので困る。早めに収まってほしい」。中国人が宿泊客の約4分の1を占める別の関西中心に展開するホテルチェーンでもキャンセルの連絡が入っているといい、広報担当者は「状況を見守るしかない」と話した。
東京都内のある高級ホテルは宿泊客の1割強を中国人客が占めるという。大半が個人客で今のところ目立ったキャンセルはないが、「規制対象が団体客以外に広がればどうなるかわからない」(広報)。
中国の旅行会社からの依頼で日本での宿泊やバスなどを手配している大手旅行会社の広報担当者は、「(週明け)月曜からはより取り消しの連絡が増えそうだ」という。
訪日中国人の購買力に支えられてきた小売業界にも戸惑いが広がる。
大丸松坂屋百貨店を運営するJフロントリテイリングは、訪日外国人客の85%は中国人客という。直近の訪日客向け売り上げは好調で、1月は25日までで前年同期比3割以上も伸びていた。その矢先の団体ツアー禁止に「間違いなく業績に影響を受ける。手の打ちようがない」(広報)。
大丸心斎橋店では売り上げの3~4割を訪日外国人が占め、うち9割以上は中国人による高級ブランドや化粧品などの購入だ。個人客も増えてはいるが、まだバスなどで来る団体客が多く、団体ツアーの禁止は「影響が大きい」(広報)と嘆く。
(後略)