「原爆75年、長崎で式典 首相は核兵器禁止条約に触れず」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2020年8月9日 11時58分)から。

長崎に原爆が投下されてから9日で75年の節目を迎えた。長崎市松山町の平和公園では、新型コロナウイルスの感染防止のため、規模を縮小して平和祈念式典が開かれた。田上富久市長は核兵器禁止条約に賛同しない日本政府に署名・批准を迫ったが、安倍晋三首相は昨年に続き、あいさつで条約には触れなかった。
 式典会場では、密集を避けるため、席数は2メートル間隔を空けて約500席に絞った。一般席も設けず、参加者の規模は例年の10分の1程度になった。式典冒頭の被爆者による合唱を取りやめ、平和公園への立ち入りも制限した。
 田上市長は平和宣言で新型コロナに触れ、「自分の周囲で広がり始めるまで、その怖さに気づかなかったように、もし核兵器が使われてしまうまで、人類がその脅威に気づかなかったとしたら、取り返しがつかないことになる」。核禁条約には「一日も早い署名・批准を」と迫った。
 平和への誓いは、14歳の時、学徒動員先の三菱長崎造船所で被爆し、家族4人を失った深堀繁美さん(89)。カトリック教徒で、昨年11月、爆心地公園を訪れたローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇に献花用の花輪を手渡した。
 「被爆者が一人また一人といなくなる中にあって、私は、『核兵器はなくさなければならない』との教皇のメッセージを糧に、『長崎を最後の被爆地に』との思いを訴え続けていく」と述べた。
 安倍首相はあいさつで、「非核三原則を堅持しつつ、立場が異なる国々の橋渡しに努め、各国の対話や行動を粘り強く促す」と、広島の式典で述べた内容を繰り返した。