「学術会議、社会の「後衛」としての役割 永田和宏さん」

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以下、朝日新聞デジタル版(2020/10/21 14:00)から。

永田和宏さん
 日本学術会議が推薦した6人の会員候補が任命されなかった問題は、十分な説明がなされないうちに、学術会議のあり方へと論点をずらそうという動きが出ている。学術会議はなぜ国にとって必要なのか。学者や研究者の役割とは何か。細胞生物学者歌人永田和宏さんに寄稿してもらった。

ながた・かずひろ 1947年生まれ。JT生命誌研究館館長。日本細胞生物学会元会長。京都大学京都産業大学で教授を務めた2006年から17年まで連携会員として学術会議に参加した。宮中歌会始や朝日歌壇で選者を務める。

 日本学術会議の新会員候補のうち、6人が任命を拒否された。このニュースは連日大きく報道されているが、自分たちには関係のない、学者だけの問題だと、関心を持っていない人が多いのではないだろうか。

 しかし、今回の政府による学術会議人事への介入は、ある意味では戦後最大の曲がり角になる可能性があり、これを許してしまうと、わが国の今後に、そして私たち国民一人一人の子や孫といった後続世代に、計り知れない影響を及ぼす怖(おそ)れがあると、私は強く感じている。

 多くの学会からいっせいに上がった抗議の表明に慌てたように、学術会議のありようを協議するというプロジェクトが自民党によって組織された。論点のすり替えであるが、学術会議の存在意義を薄める、あるいは無化しようとする、脅しに近い思惑が感じられる。

 (後略)