以下、朝日新聞デジタル版(2021/1/25 17:57)から。
菅義偉首相らが25日、通常国会で初めての予算委員会に臨み、与野党議員と論戦をかわしました。新型コロナウイルス対応や「政治とカネ」の問題などについて、どう説明したのか。タイムラインで詳報し、記者が解説しました。(倉重奈苗、岡村夏樹、西村圭史、今野忍、鶴岡正寛)
寸評=倉重奈苗記者
ここまで信条・決意伝わらぬ答弁珍しい
政治家は「ことばが命」といわれる。それなのに、ここまで政治信条や決意が伝わってこない答弁は珍しい。ましてや国のリーダーである首相の答弁だ。25日、新型コロナウイルスによる緊急事態再宣言のさなかに始まった衆院予算委員会。一問一答の丁々発止の論戦が繰り広げられるはずの場だが、菅義偉首相は昨年秋の臨時国会に続き、この日も棒読みや言い間違いが目立った。
午後の質問に立った野党第1党・立憲民主党の江田憲司氏は、首相の「答弁を控える」という答弁がこれまでに113回に及んだことを取り上げた。臨時国会では江田氏の質問に対し、人気アニメ「鬼滅の刃」のせりふを使い「『全集中の呼吸』で答弁させていただく」と述べていた点にも触れ、この言葉は「どこに行っちゃったんですか」と問いかけた。
今国会の最大のテーマは与野党問わず、我々の暮らしを一変させ、命をも脅かす新型コロナウイルスの対応だ。特に今回の予算委では、22日に閣議決定した特別措置法や感染症法などの改正案の是非が焦点となっている。時短命令に応じない飲食店などへの過料など「私権の制限」が新たに盛り込まれているためだ。
国民に対し、不安に追い打ちをかけるような規制を求めるならば、国のトップリーダーが自らの言葉でその理由を説明し、理解を求める真摯(しんし)な姿勢が必要ではないか。国会は、そのための場であるべきだ。
コロナ対応に加え、社会の分断に揺れる米国のバイデン大統領は20日の就任式で、約20分の演説の大半を割いて、分断を克服しようと「結束」への思いを繰り返し語った。78歳のバイデン氏の言葉からは、困難はあろうとも分断を克服するという明確な意思を感じた。
きょうの菅首相の答弁を聞いた国民は、何を感じただろうか。
26日も衆院で予算委が開かれる。首相の「ことば」を引き続き注視していきたい。
(後略)