家族にすすめられて映画「ウスケボーイズ」を観た。
オーガニックワインというのだろうか。自然派ワインというのだろうか。この辺はこだわりのある人たちの考え方を聞かないと簡単には言えないと思う。ただおいしいワインであることは間違いないところだろう。日本でもなんとかうまいワインをつくりたいという夢をもった若者たちの話。
これはワインの事例ではないのだけれど、俺が子どもの頃、日本のパンはうまいとは言えなかった。理由は簡単。パンの文化が成熟していなかったのだ。当時のパンなら炊き立てのコメのほうが数百倍うまかった。コメ文化だから当然のことだった。だけれども、ご承知のように、日本のパンづくりの水準はどんどんあがり、いまでは海外と比べてみて全く遜色がない。その分、コメ文化を尊重する文化性は一部の人たちには弱くなってしまったのかもしれないけれど。
ワインも同様で、昔はポートワインと呼ばれる甘いワインがあった。悪口が過ぎるかもしれないが、これなど海外のワインとは比較すらできない代物だった。
そもそもワインといえば、フランス。これがヨーロッパなら、イタリア、スペイン、ポルトガル…。オセアニアなら、ニュージーランド、オーストラリア。南アメリカならチリ。アフリカなら南アフリカと、これらの国々はいまやフランスに並びフランスを追い越せとの勢いがある。
しかしながら、問題にならなかった日本のワインが、いまやその水準が上がってきている。テレビ番組のワイン当てクイズで、フランス人が日本のワインの水準の向上に驚いている場面も少なくない。
そうした状況の中での、「ウスケボーイズ」の話なのだろう。
40年も前にサンフランシスコでフランスパンと安い赤ワインでも感動するほど美味しく、これは炊き立ての白飯とあたたかい味噌汁に匹敵すると感じたことを想い出した。
未来の若者たちに先輩として教える麻井宇介氏役の橋爪功さんが熱演していた。
泣ける良作だった。