以下、朝日新聞デジタル版(2021/7/14 5:00)から。
「この道しかない」とばかりに物事が進められてきた新型コロナ対策や東京五輪の問題。菅政権で「プランB」(代替案)が見えてこないのは、なぜなのだろうか。
「政策は失敗しうる」という前提がない日本 兪炳匡さん(神奈川県立保健福祉大学教授)
コロナ禍で明らかになったのは、政策形成過程に論理性、透明性、科学的なエビデンスの全てが乏しいという、日本特有の惨状です。欧米では、コロナに関する巨大なデータベースを作成するだけでなく、一般公開しています。このデータを世界中の研究者が分析し、複数の未来予測シナリオが提供され、各国政府はこれを基に最悪の状況に備えて政策をつくります。欧米のコロナ対策に共通項が多いのは当然です。
ところが日本は、政府の中枢にいる少数のエリートが、非公開のデータ・分析を基に政策をつくっています。この政策には複数のシナリオが考慮されず、唯一の「正解」しかありません。一部の専門家は、この日本独自の「正解」に忖度(そんたく)し、世界共通の科学的エビデンスと全く異なることを平然と主張する。PCR検査の抑制論はその典型です。
兪炳匡さんが指摘する日本の問題点とは。記事後半では、漫画家・随筆家のヤマザキマリさんとジャーナリストの鈴木哲夫さんも、「プランB」が出ない原因や理想の社会について話します。
(後略)
(聞き手・小村田義之 聞き手・池田伸壹)