アベ・スガ・岸田の自公政権と、その補完勢力では、国民の幸せは望めない ひるまず市民と野党の共闘を強化するしかない

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 今回の選挙では、個人的には、自公対野党共闘での政権交代を望んでいた。

 しかしながら政権交代はおこらなかった。

 議席数でいえば、自公はそれほど減らさず(自民-15)(公明+3)、れいわ新選組は初の選挙で+3と躍進したが、社民は±0、立憲民主党共産党議席数を減らす結果となってしまった(立憲民主党-13)(共産党-2)。一方、維新は+30と躍進し、国民民主は+3となった。

 

 全体を振り返ってみて、今回の選挙で注目すべきは、なんといっても東京8区の吉田晴美氏(立憲民主党)の当選である。ここに今後の日本の展望をみるように感じる。

 この東京8区は、野党統一候補者をめぐってゴタゴタしたけれど、れいわ新選組代表の山本太郎氏の適切な大人の対応で、逆に、注目を集め、共産党も候補者を下ろして、「上級国民」と揶揄され「最後はかねめでしょ」という問題発言の石原伸晃氏に対する忌避感が引き出される結果となった。自民党内ではひとつの派閥のトップでもある石原氏は、小選挙区で落選。比例区での復活当選もかなわなかった。今回落選した兄と同じく、弟の石原宏高氏も立憲民主党候補に東京3区で敗北した*1


 さらなる大激震は、甘利明幹事長落選の神奈川13区である。

 自民党の結党以来、党の幹事長が小選挙区で負けるというまさかの落選*2野党統一候補者(太栄志氏)によるMVP級の大金星となった。URの口利き疑惑で落選運動も起こり幹事長落選への拍車がかかったが、基本要因は、野党共闘が勝利の土台となっていることは間違いない。

 自民で副大臣経験者(若宮健嗣氏)ですら立憲民主党候補に負けている(東京5区)。
 デジタル担当大臣だった平井卓也氏(自民党)も、立憲民主党小川淳也氏に負けている(香川1区)。

 立憲民主党の緑川貴士氏が元法相の金田勝年氏(自民党)を7900票差で制し、3度目の対決で初めて金田氏に勝利した(秋田2区)。

 安倍晋三事務所から出馬させ、「わたしの右腕ですから」と安倍元首相が応援した候補者も、国民民主の候補者に負けた(長崎1区)。

 当の安倍晋三氏は当選したものの、前回の衆院選から2万4千票も減らした(山口4区)。

 「温暖化したおかげで北海道のコメはうまくなったろう」「むかしは厄介道米と言われていたんじゃないの」と麻生太郎副総裁が農業従事者の努力を傷つける応援演説をおこなった北海道4区でも、立憲民主党の大築紅葉(おおつきくれは)氏が、自民党候補者に惜敗したものの、比例重複で当選を果たし、北海道4区初の女性国会議員となった。

 市民と野党の共闘により214の小選挙区で候補者が一本化され、自公を追い詰め、62の小選挙区野党共闘候補者が勝利した。


 さて自公政権の悪政のもとで、国民は全国で悲鳴をあげている。

 まずは自分でやってみるという悪政のもとで、誰も助けてくれない。

 いま何とかしてほしいという願いが日本全国に渦巻いている。

   しかし有権者の二人に一人しか投票に行かなかったという低投票率。これに喜んでいるのは政権与党だろう。

 アベ・スガ政権のもとで、非正規雇用者が大量に増えてしまった。そうした経済構造を反映する政治意識としては、共産党やれいわ新選組がもっと伸びてしかるべきだと思うが、そうした結果には至っていない。これには、低投票率が大きな要因にもなっている。


 私見だが、日本の政治史の見方として、自民党共産党に注目して見てみるという見方があると思う。

 自民党はこれまでも政権維持が困難になると新自由クラブなどのブームで乗り切ってきた。1999年から2009年、2012年から現在までの20年間、自民党は単独では政権が維持できず組織票の手堅い公明党と組んで政権を維持している。

 今回、とりわけ大坂で日本維新の会が躍進した*3が、維新の会は、その政治的姿勢として、下火になっている新自由主義を下ろしているようにはみえない。日本維新の会は、自民党の補完勢力ともいわれている*4。維新が果たして野党といえるのかと言われるゆえんである。

 維新といえば、橋本徹氏が大坂府知事のとき、府知事を批判した元府職員が話題になったことがある。維新躍進のいま、その大阪5区の大石晃子氏の、れいわ新選組での比例復活当選は、政治現象として注目に値する。


 共産党は、今回、野党共闘大義のために小選挙区で候補者を20以上も下ろした。
 自公対野党共闘の構図は、市民運動の動きと、共産党の統一戦線をなんとかつくろうとする姿勢もあって、実現したが、野党共闘の未熟さと足腰の弱さはぬぐえず、とりわけ一部の連合にひっぱられ、脆弱さを抱えていた。

 無所属で自民党候補を破って当選した米山隆一氏(新潟5区)は、立憲民主党の公認を望んでいたようが、共産党に対する氏の政治姿勢から、横やりが入って、公認は取れなかったようだ。詳しい話は知らないが、一部の連合の共産党アレルギー(反共思想)から*5野党共闘が強固なものになることを恐れるあまりの対応であることは想像に難くない。

 みずからを「野党統一候補」だと、野党共闘を強調するより、自分は「立憲民主党」候補だと強調していた候補が目立ったのも、野党共闘の弱点の反映であろう。


 とりわけ選挙中は「立憲共産党*6と、選挙後は、共闘ではなく「共倒」だと揶揄され、デマによる批難を浴びたが、立憲民主党の及び腰から、野党共闘側からの反論は十分でなく、結果的に、政権交代という訴えに風が吹くことはなかった。

 それでも日本の独立・基地・平和の課題を忘れることのできない沖縄では、沖縄3区・4区では自民党が立憲民主を破り当選しているが、沖縄1区では、赤嶺政賢氏(共産党)が自民党候補を破り当選を果たし、また沖縄2区では新垣邦男氏(社民)が自民党候補を破り当選している。

 自公は嫌だ、野党共闘に対しても確信がもてない。そこにつけいるのが、野党共闘に背を向ける日本維新の会と国民民主党であろう。この間、低投票率が継続する中で、相対的に、それぞれのコアな組織票がかなりの意味をもち、結果を出す現象が顕在化している。実際、今回の選挙で、自公も、そして野党と呼べるのか疑問のある日本維新の会も、国民民主党も、当選数を伸ばしている。

 今回、あまりにひどい自公政権の中で、「大物」政治家でも、スキャンダルは、国民の厳しい評価には抗えなかった *7小選挙区での甘利明氏・石原伸晃氏・石原宏高氏の落選は国民の健全な批判によるものだ。

 それを可能とし顕在化させたのは、共産党が候補者をおろした、市民と野党の共闘の力であることは間違いない。これを否定することはできない。国民の幸せを望むなら、ひるまず市民と野党の共闘を強化するしかない。

   今回、小選挙区においては、野党共闘は接戦し*8、また野党共闘は躍進したと言えるだろう。一方、比例区では、野党共闘は敗北したと言わざるをえない。

 危惧するのは憲法改悪である。

 憲法改正のために必要な衆院議席数は、3分の2の310議席自民党日本維新の会・国民民主党の3党は、選挙前の295議席から今回313議席になった。参院では3党では足りず、公明党を含めて3分の2に達する。

 基本的人権国民主権・平和主義・立憲主義を壊す憲法改悪が国民の幸せにつながることはけっしてない。

 今後、右から、左から、ひっぱられる立憲民主党の政治的立ち位置が引き続き問われることになるだろう。

 ひるまず市民と野党の共闘を強化するしかない。

 

 野党共闘の共通政策は以下のサイトを参照して下さい。

 共産党のサイトでは共通政策の対立軸が表になっています。安倍・菅政権との比較がわかりやすく提示されています。

野党共通政策 対決軸鮮明/安倍・菅政治の転換示す (jcp.or.jp)

 立憲民主党のサイトに飛んでpdfをチェックすれば共通政策の原文を読むことができます。

市民連合と立憲民主党をはじめ野党4党が共通政策で合意 - 立憲民主党 (cdp-japan.jp)

*1:弟の石原宏高氏は比例復活した。

*2:甘利明氏は小選挙区で大敗北したが、比例復活をしている。

*3:大坂10区では、立憲民主党辻元清美氏も小選挙区で落選した。大坂11区では、佐藤ゆかり氏(自民党)・平野博文氏(立憲民主党)のいずれも維新候補に負けている。

*4:日本維新の会の市議・区議・府議・国会議員に不祥事・問題行動も多く、そのポピュリズム的姿勢も問題になることが少なくない。

*5:「連合」を一枚岩に考えてはいけない。「連合」にも右派・左派、さまざまな状況がある。沖縄では連合がオール沖縄共闘勝利に貢献したと共産党副委員長が言っている。

*6:もちろん、立憲民主党共産党は、違う政党であって、「立憲共産党」という政党はない。

*7:自民党の「老害」のような「大物」政治家に対する嫌悪感・忌避感が強まっているようで、そうした嫌悪感・忌避感からの落選も目立った。これは、立憲民主党でも同じ傾向が出ているようで、小沢一郎氏・中村喜四郎氏も小選挙区で落選した。ただし、両者とも比例復活当選を果たしている。

*8:YouTube選挙ドットコムチャンネルで、一千票・一万票差という僅差で野党共闘が負けた小選挙区が35選挙区あると報じている。