1時にメンターのジョンが来た。握手をして、さっそくバーベキューのセッティングに彼は取りかかる。
次に、ラグビー好きのマオリのジョン(仮名)とアンドリュー(仮名)がコーラとピザをもってやって来た。そしてマオリのテレサ(仮名)が来た。彼女は、スコーンのような揚げパンをバスケット一杯持ってきてくれた。優しい人だ。
アンドリューは、北島の東部、ギズボーン近くの出身だ。ラグビー好きのジョンとは仲がいい。今日もスカイテレビでラグビー観戦が楽しみだという。
ところで、マオリの彼らは家庭でもイギリス語で育てられ、小学校もイギリス語で教育された。私のように全くマオリ語を知らないわけではないけれど、彼らにとってもマオリ語は外国語に近く、大学に来てから本格的にマオリ語を習っている。彼らの両親は全くマオリ語を話せないという。地域によっても状況はかなり違うらしいけれど、マオリ語復活運動から、小学校でもマオリ語が盛んに教えられているのかと思っていた私には意外だった。
今日来てくれたアンドリューなんかは、外見は白人に近いから、彼のことを私はマオリ語を学ぶ意識の高い白人と思っていたし、「行けないけれど、誘ってくれてありがとう」と言っていたクラスメートのマオリのトーマス(仮名)なんかも、一見したら白人だから、同じく意識の高い白人かと私は思っていた。
つまり、初級マオリ語を学習したいと思っている生徒は、私やアリスのような、いわばインターナショナルスチューデントで外部の生徒ばかりと思っていた私は、「なんでこんなにマオリやマオリ系学生が受講しているの」と、マオリ語受講生の構成に、まず驚いたのだけれど、一見白人のように見えるこのアンドリューも、親戚にマオリがいるマオリだという。彼らに言わせると、インターナショナルスチューデント以外はみなマオリだろうという*1。
つまり、彼らはマオリ系なのだけれど、イギリス語で生活をしていて、マオリ語を流暢に話すことができず、大学から本格的にマオリ語を学び始めているということになる。その理由は、やはり自分のコトバだからというものだ。今日来てくれたラグビー好きのジョンなんかは、最初のクラスで、「マオリ語ではなく他の言語をやろうと思ったのだけれど、出席してみたら案外むずかしいのでマオリ語に戻ってきた」と私に言っていた。
こうした話をしていたら、ミュージシャンみたいな奴が突然庭に現れた。
誰かなと思ったら、講師のヘミだった、ミラーサングラスをかけているので、わからなかった。
ヘミは、約束通りマッスルなど二種類のシーフードを持ってきてくれた。父親が病気だという噂があって、もしかして今日は来れないのかなと私は思っていたが、やはり彼は信頼できる男だ。
ということで、学生3人、講師2人の合計5人の来客となった。
講師のヘミは、この一週間、二回のマオリ語の試験の際に、試験監督をチューターに任せて、大学に一切来なかったので、受講生たちにマオリ語の試験はどうだったと聞いている。