キース=シンクレア(Keith Sinclair)編の「図解オックスフォードニュージーランドの歴史」(The Oxford Illustrated History of New Zealand)を参考にして、昨日の続きを書く*1。
土地を売ったマオリの動機は、パケハ(Pākehā)を隣人にしたかったという理由が主たるものだったようだ。いわば市場、商品、技術、サービス、ときには、他の部族との間のお手軽な緩衝地帯としてパケハを活用したという。マオリにとって、これらは目的であると同時に手段でもあった。マオリにとってのパケハは、マナ(mana)、すなわち価値ある精神的資産であったのだ。
新しい福音伝道(evangelism)にとって最後に肝心なものは、法である。マオリの住む地域ではマオリの法律が支配的であり、パケハの住む地域ではパケハの法律が支配的であった。しかし、マオリの地域にも、伝道師が入り込み、影響を与え始め、それを受け入れるマオリの地域もあらわれ始めた。ときに、パケハの警察や軍事的襲撃をともない、受け入れを強制した。パケハの地域への訪問者やパケハの地域の境に住むマオリは、イギリスの法律を受け入れることを説得されたり、強制された。
その一方、少数だが、パケハの一部にマオリの法律にしたがって行動せざるをえない者もあらわれた。多分に誇張的だが、ニュープリマス(New Plymouth)*2のような大きな町でも、「未開人の支配に甘んじなければならない」と、移民者が不平をこぼしている例がある。