アオテアロア・ニュージーランドと母語の重要性 (7)

 首都ウエリントンにあるキーウィが誇る博物館、テ・パパには、真ん中にワイタンギ条約、左にマオリ、そして右にイギリスの展示がされている大規模な展示会場があるが、まさにこれこそが今日のニュージーランドを象徴していると言えるだろう。ニュージーランドにはマオリ以外にも少数民族が存在しているけれど、ニュージーランドは、基本的に「ふたつの民族からなる国」(A nation of two nations)なのだ。
 ニュージーランドという国の名称は、ニュージーランドという名称ではなく、アオテアロアニュージーランドと呼ぶべきだと、国会図書館マオリの司書が語ってくれたが、こうした提言も「ふたつの民族からなる国」(A nation of two nations)という文脈からのことであるに違いない。
 私たちがマオリ語の歴史に触れるならば、英語学習の今日的必要性と同時に、それ以上に母語の重要性を考えざるをえないのだが、われわれの日本の英語教育を考える意義としても、こうしたマオリ語の歴史から、日本人が学ぶべきものは少なくない。