Language Education

はじめて DeepL と Bingチャット をつかってみた

雑誌では、ChatGPTなどAIの特集が眼につくようになってきています。 不勉強でChatGPTはまだ試したことはないのですが、最近の自動翻訳の精度は60%や70%のでき具合だと聞いたので、数日前にDeepLなるものを初めて使ってみたら、驚いた。まさに一瞬にして、日…

WPMのお話 ー外国語学習(言語活動学習)とスピードー

英語を学ぶ際の観点として、学ぶ際の方法論として、スピードというものが大切であると感じてきた*1。 英語学習におけるスピードがいかに重要かという話をするときには、言語活動学習と言語学習の区別と連関の理解が前提となる*2 もうひとつ、自覚しておかな…

「英語能力試験は必要ですか?」(スティーブ・カウフマン)

www.youtube.com 英語能力試験は必要ですか? - YouTube 以下は、スティーブ・カウフマン氏の「英語能力試験は必要ですか?」(2008年)のあらまし。本動画は、日本語によるものなので、実際に動画をみてほしい。以下は、聞き起こしではなく、氏のお話のあらま…

「辛抱づよく」「成長を信じて」「自分の主人公になって」「コトバを学んでいるその瞬間を楽しもう」(スティーブ・カウフマン)

外国語学習とはどういうものなのか、深めるために、最近、これまで多言語を学び、実際に多言語話者であるスティーブ・カウフマン(Steve Kaufmann)氏の動画をみて学び直している。 氏の動画を見ていると、もちろん氏が代表をつとめるLingQの宣伝をするつもり…

そもそも日本の外国語教育として、全ての中学生に英語スピーキング「テスト」は必要なのか

都立高校の入試に使われるという英語スピーキングアチーブメントテストが明日実施される*1。 第一に、この英語スピーキングテストは、入試としての瑕疵が多く、入試として使いものにならないという意味で、入試に使うことは適切ではない。 当然なことに批判…

ロバート・フィリプソン教授の講演「プロフェッショナリズムとTESOLの神話」("Professionalism and myths in TESOL")(2019)

2019年3月12日~15日に、アメリカ合州国はジョージア州のアトランタで開かれたTESOL国際大会・英語エクスポ。その大会でのロバート・フィリプソン(Robert Phillipson)名誉教授の講演。10分17秒ほどの短いものだが、YouTubeで講演を聞いて、これがたいへん興…

英語学習の技術と思想 -超大言語を学ぶときの留意点ー

日本社会は単一民族で単一言語などと考えているわけでは全くないが、相対的に世界をみるならば、日本の言語環境*1は、アジアの外国語は別にしてヨーロッパの外国語を学ぶ上で条件が整っている言語環境とは言い難い。もちろんそれが不幸せだとか不便だとか言…

教育的でない、さらに公平・公正でないスピーキングテストの都立入試への導入はすぐ中止にすべきではないですか

東京に生まれ、区立小学校、区立中学校、そして都立高校で学んだものとして、まず思うのは、都立高校で学びたいという中学生には全員入学を認める(全入)でよいのではないか。あえていえば入学試験(選抜試験)など必要ないのではないかということだ。入試…

「迷走する英語教育をただす -中村敬の理論・思想・実践をもとに」を読んだ

迷走する英語教育をただす -中村敬の理論・思想・実践をもとに ホームランダービーに出場し翌日オールスターゲームで打って投げるという歴史的快挙を果たすことになった大谷翔平投手の活躍を期待してMLBのオールスター戦を見た。MLB前半戦における大谷投手…

「言語社会学者の鈴木孝夫さん死去 「ことばと文化」著者」

鈴木孝夫氏については、このブログの中でも何度か紹介したことがある。 岩波新書「ことばと文化」(1973年)は、英語教師ばかりでなく広く読まれていたことだろう*1。これは印象に過ぎないが、英語という大言語の研究から、その後、多言語文化が進行していく…

「(コトバと場所)翻訳できない「わたし」 方言と世間、土地を離れ仮想化」

以下、朝日新聞デジタル版(2021/1/5 5:00)から。 「もし僕が訳すとしたら『黒人だって生きている!』というのが近いように思うんだけど、いかがでしょう?」。米文学の翻訳も手がける作家の村上春樹さんは昨年8月、自身のラジオ番組でこう問いかけた。 米国…

「「総合的・俯瞰的」は稚拙な日本語 にじむ政権のおごり」

以下、朝日新聞デジタル版(2020/12/11 19:00)から。 日本学術会議問題で浮上し、今年の流行語大賞にもノミネートされた「総合的・俯瞰(ふかん)的」。わかったようでわからないこの言葉に、果たして実体はあるのでしょうか。政策コンサルタント・室伏謙一さ…

「留学生バイト漬け、学級崩壊も放置 日本語学校で見た闇」

以下、朝日新聞デジタル版(2019年3月18日12時45分)から。 留学生20人が学ぶ教室内で、授業に耳を傾ける学生はほとんどいない。スマホをいじったり、母国語でおしゃべりしたり。居眠りする学生もいる――。 都内のある日本語学校の光景だ。1年半前、この教…

「常套句でうやむやにする政治を疑え 政権の言葉を考える」

以下、朝日新聞デジタル版(2018年10月26日07時25分)から。 「遺憾」「不徳の致すところ」――。この二つの決まり文句=常套句(じょうとうく)で、おおかたのことがうやむやにされている感のある今日このごろ。秋の臨時国会は始まったが、このもやもやした思…

「日本語分からず授業座るだけ ごっそり抜けた中学の勉強」

以下、朝日新聞デジタル版(2018年9月30日10時49分)から。 外国で育つなどして日本語教育が必要な公立高校生が、全国の公立高校生の平均と比べ、7倍以上の割合で中退していることが明らかになった。こうした生徒の増加に伴い、支援に力を入れる高校は増え…

「日本語教育必要な生徒、1割弱中退 公立高平均の7倍超」

以下、朝日新聞デジタル版(2018年9月30日05時01分)から。 外国で育つなどして日本語が十分にできず、「日本語教育」が必要な公立高校生のうち、9・61%が昨年度に中退していたことが、文部科学省が初めて実施した調査の結果で分かった。2016年度の…

「価値観すり合わせ 第三の道を開く 対話の言葉磨こう」

7月5日付の朝日新聞の「インタビュー」の欄で、「政治と言葉」について、劇作家の平田オリザさんのインタビューが載っていた。 「会話」と「対話」は違うものですかという質問に対して、平田さんは、「会話」は「親しい人同士のおしゃべり」、「対話」は「異…

膠着語である日本語の特質に合致した宮澤賢治の「雨ニモマケズ」

井上ひさしさんの「宮澤賢治に聞く (文春文庫)」を読んでいたら、「日本の、すぐれた詩人がみなそうであるように、宮澤賢治もまた第一級の日本語の使い手であった、ということに思い当ったのは、昨年(一九七六年)の春、オーストラリア国立大学で<客員教授…

「日本語は特殊な言語ではない」

朝日新聞の本日の夕刊のコラム「人・脈・記」に、言語の比較研究で興味深い話が載っていた。 残念ながら私は手にしたことはないのだが、「世界の言語と日本語」(1991年)*1の著者・角田太作さんは、東大大学院生であった1971年にオーストラリアのモナッシュ…

Social Networking Language Education Websites: Live mocha, Busuu, Babbel, Myngle, Italki.com, Lang-8, Edufire

インターネット上の外国語学習用のサイトが充実してきているというので、ここ数週間、外国語学習用のサイトをあれこれ試している。問題は、結構たくさんあるので、どこに何があるのかということである。 "Social Networking Language Education Websites"と…

梶山季之原作、ジェームス三木脚本・演出の「族譜」を観てきた

青年劇場の「族譜」を観てきた。 劇の舞台は、昭和15年、朝鮮京畿道水原郡。日本政府による皇民化政策「創氏改名」をテーマとして、改名を拒否する地主・薜鎮永(ソルジニョン)の物語である。 薜は、日本軍にたくさんの米を献納する親日家であったが、先祖…

「学校で母語禁じ「忠誠」丸暗記」

梶山季之氏の「族譜」を原作としてジェームズ三木氏が舞台化した劇団青年劇場による「族譜」の舞台公演が近づいている。 そのことに触れながら、今日の朝日新聞の「歴史と向き合う」という欄で「朝鮮人に強いた報国」という題名で記事が掲載されている。その…

母語の重要性については、マオリから学ぶべきである

昨日の朝日新聞にシンガポールの抗日の曲「熱血」についての記事が載っていた。 その記事の後半部分で、次のような箇所があった。 「英植民地時代に育った老人たちは意味も分からないまま覚えた讃美歌を今も歌う。シンガポールは70年代末に英語教育を全面的…

母語の重要性はマオリから、イギリス語を使いこなす姿勢はシンガポールから学べ

個人的に私は、母語の重要性をマオリから、そして、母語を大切にしながらも*1イギリス語を話す姿勢をシンガポールを「反面教師」として、学ぶべきだと思っている。 一般的に言って、日本人はこの両方ともわかっていないと思うからだ。 だから、少なくともこ…

英語を話す必要のない日本の言語環境

「日本の小学校英語教育は時間の無駄である」と主張するIHTの意見記事*1を読んだ。 http://www.asahi.com/english/Herald-asahi/TKY200604190151.html いくつか納得できる点があったが、とくに以下の日常生活で英語を必要としない日本の言語環境という指摘は…

植民地主義的教育か、民族的・国際的教育か

シロソ砦では、日本統治下の際の日本語教育の資料も充実していて、戦時下・占領下には、外国語教育というものが、いかに非人間的なものになるのか、よく理解できる資料がそろっている。 日本統治下には、日本語を強制するプロパガンダが推し進められた。シン…

母語を話す権利 (6)

基本的人権の中では生存権が何よりも重要であり、その生存権を保障するためにこそ教育権や労働権の保障が重要なのであるが、こうした基本的人権を保障するためには母語を話す権利という言語権を保障しなければならないということは案外見過ごされがちだ。 ア…

外国語は単にできればいいという単純なものではない

これも何回も書いているように、私が昨年研修してきたアオテアロア・ニュージーランドのマオリは、例外なく英語を話す。それは、学校で英語を押しつけられ、マオリ語が弾圧された結果だ。 植民地教育の中で、支配者の言語を話させた例は世界にたくさんある。…

アオテアロア・ニュージーランドと母語の重要性 (7)

首都ウエリントンにあるキーウィが誇る博物館、テ・パパには、真ん中にワイタンギ条約、左にマオリ、そして右にイギリスの展示がされている大規模な展示会場があるが、まさにこれこそが今日のニュージーランドを象徴していると言えるだろう。ニュージーラン…

母語を話す権利 (6)

基本的人権の中では生存権が何よりも重要であり、その生存権を保障するためにこそ教育権や労働権の保障が重要なのであるが、こうした基本的人権を保障するためには母語を話す権利という言語権を保障しなければならないということは案外見過ごされがちだ。 ア…