外国語教育

外国語をマスターするということがどういうことなのかわかりにくい私たちの環境

私の元同僚は、英語を母語とし、ドイツ語の教師を長年勤め、また現在も教えているくらいだから、ドイツ語をマスターしている。オーストラリアで合気道と出会い、日本に来てからは、日本語をマスターし、その他にも、おそらくオランダ語やギリシャ語をかじっ…

長年仕事を共にしたオーストラリア人元同僚の特別講義を聴いた

今はオーストラリアに帰ってしまっていて、ドイツ語の教師をしているが、日本にいるときは英語の教師として長年いっしょに仕事をした元同僚が、いわば古巣に遊びに来て、うちの生徒たちに話をしてくれた。これが全くのボランティア活動なので、大変にありが…

小田実さんが亡くなる

小田実氏が亡くなったと新聞が報じている。 私は小田さんの著作、とくに氏の書かれた小説は全く読んでいない。氏の「ベ平連」の活動も知らない。 ただ、リアルタイムではないけれど、小田実氏の「何でも見てやろう」は読んだことがあるし、また、氏の英語教…

1ヶ月も日本の各地をまわって息子の友人たちが帰ってきた

1ヶ月以上も日本の各地をまわってきて息子の友人たちが昨日から我が家に泊まっている。今日オーストラリアに帰る予定だ。 私は今日も、あれやこれやの仕事があって、彼らとつき合うことができない。 日本をまわってみての感想は、食事はそれほどでもないが、…

息子のオーストラリアの友人たちが今朝日本旅行に出かけた

1年間だけだが、オーストラリアはタスマニアのホバートに息子がいたときの友人が、ここ数日間複数で我が家に泊まっていた。 私も余裕があれば付き合いたいのだが、冬休みが終わって仕事が再開したばかりで全く余裕がない。土曜日・日曜日も、学校の仕事や学…

アメリカ合州国で中国語教育が盛んになっている

17日付けのIHTに、”East meets West in U.S. Schools”という題名で、ノースキャロライナなど、アメリカ合州国の学校における中国語ブームが報じられている。 「アメリカ人は英語を学ぶ他国の人々の実態を聞くことに慣れているが、いまや逆の傾向が見て取れる…

IHTの萱野茂さんの紹介記事

“The first Ainu lawmaker, Kayano brought the ethnic minority’s plight to national attention. “という副題がつけられて、北海道アイヌの最初の国会議員であった萱野茂さんの訃報が今朝のIHTに載っていた。 アイヌ語保存のための萱野さんの貢献について…

小学校の英語教育の前にやるべきこと

例えば、日本全国の英語教員を、一人の例外もなく、自主的研修を充実させることはどうなのか。そうして、日本全国の学校という学校における英語教育を充実させたい。当然、クラスの生徒人数もうんと少なくして、少人数クラスにする。 それから、生徒の自主性…

安易な小学校早期英語教育論に欠けていること

4月24日の朝日新聞に、小学生からの英語教育必修化論に対して、賛成派と反対派の意見が載っていた。反対派の代表は、元同時通訳者で現在立教大学教授の鳥飼玖美子氏だった。 鳥飼玖美子さんが強調していたことのひとつは、小学校の段階では母語を重視すべき…

北京語と英語にはさまれて、楽観視できない台湾語の将来

朝日新聞夕刊の「膨らむ中国語」と題するシリーズがあるのだけれど、昨日は「台湾風」について書かれていた。 歴史的にみると、言うまでもなく、日本統治下の台湾では日本語が強要されていたが、1945年に日本軍が去ると、中国大陸から来た国民党による統治が…

外国語教育がどうあるべきか、台湾から学ぶことは少なくない

日本統治時代に日本が日本語教育をおこなった際に、「国語常用家庭」として日本語使用を奨励した話は、台湾関係の本を読むとよく紹介されている。 日本語と英語との関係を考えないといけない今日の日本が、日本統治時代に日本によって日本語が押しつけられた…

やはり日本の英語教育でめざすべき目標を日本の言語環境から考えるべきだという思いを強くした

1年間だけだが、オーストラリアはタスマニアの学校にいたときの息子の友人が三人、うちに遊びに来ていた。オセアニアはいま夏休みだが、一人はその夏休み中に日本にたち寄ったということで、三泊だけして今日朝早くに次の旅行計画のために家を出ていった。そ…

素晴らしい小学校の英語の授業を見た

これはすでに昨晩のことだが、いつものように帰宅が遅くなり、たまたまNHKの「わくわく授業」という番組を見ていたら、その授業の素晴らしさにとても驚いた。 番組が扱っていたのは尾道市立土堂小学校の藤井弘之先生の音読の授業実践なのだが、高学年の小学…

アメリカ合州国の日本語教育、予算削減で統合計画がすすむ

朝日新聞によれば、日米経済摩擦が厳しかった80年代末に始まった日本語教育が、教員の人件費削減などを理由に統合計画が進んでいるという。日本語学級がなくなりそうなのは、ワシントン近郊のフローリス小学校で、日本語イマージョン(集中)プログラムは近…

まず日本語できちんとした情報が取れる国にしないといけない

これは横浜市のことではないが、「国際化」「グローバル化」している世界において、世界を知るには、英語が必要という意見があるが、外国語で世界を知るようになるには、相当の年月がかかる。むしろ母語の日本語でやった方が便利だし、効率がいい。ただしこ…

戦略をもって多種多様な外国語教育を

むしろ日本の言語環境を基本条件に、言語戦略と戦術を考えさせながら、多種多様な外国語を学ぶ生徒を増やす必要があるように思う。 英語を学ぶのであっても、大国主義的アジア蔑視、植民地根性的な白人崇拝意識を変えていく必要がある。 そのためには、中途…

外国語は単にできればいいという単純なものではない

これも何回も書いているように、私が昨年研修してきたアオテアロア・ニュージーランドのマオリは、例外なく英語を話す。それは、学校で英語を押しつけられ、マオリ語が弾圧された結果だ。 植民地教育の中で、支配者の言語を話させた例は世界にたくさんある。…

観光案内ができるベレルにしたいと言うけれど

さて、英語の話である。 新聞報道によれば、「中学校卒業段階で外国人来訪者に横浜の良さを伝え、簡単な観光案内ができること」「最終的な目標は70%の生徒が中学卒業時に英検3級に合格すること」としている。 一体全体、こんなことが必要なのか。 また、そ…

横浜市の小学生の英語教育

朝日新聞を読んでいたら、横浜市で小学生の英語教育が始まろうとしているとの記事が掲載されていた。 現状では、私は小学生の英語教育に基本的に反対である。 それは、今の日本では、まず日本語できちんと考えることができて、日本語で自分の意見を表現でき…

日本の言語環境

日本に帰ってきてから、あっという間に、一ヶ月半が経ってしまった。 毎日仕事に忙しく、いつも通り、少し前まで、しばらく海外にいたことなんかすでに忘れてしまった。 日本にいると、英語を話すことも必要なくなり、日本語だけの世界になる。 この前たまた…

生徒をブロガーに仕立て上げるという英作文選択授業のアイデア

さて、勉強は面白くないといけない。面白くないと長続きしないし、結局何も身につかないだろうというようなことを書いてきたわけだが、それでは、私が担当する英語教育で、面白くするにはどうしたらいいのか。 まず、英語教育といってもコトバの教育だから、…

勉強は面白くないといけない

いま私が好きなことは、モノを書くことだ*1。マオリ語*2でも英語でも日本語でも、書くことが好きなのだが、どれが一番好きかと言われれば、もちろん母語・日本語で書くことだ。 それじゃ、書くことがうまいかと言われれば、見ての通り、格別上手というわけで…

ヘルプの思想が重要

教師や友人どうしがヘルプし合うことが大切である。教師は、そうした環境をつくってやる必要がある。 そもそも点数でもって、合格・不合格を決めたり、評価の結果を固定的に考えるのは、よくない。学習者にやる気をもたせ、常にヘルプをしてあげる姿勢が教師…

なんだかんだいっても、やはり「文法力」と「語彙力」ではないか

マオリ語を学んでいて、つくづく感じるのは、なんだかんだいっても、文法的規則をマスターすることと、語彙力を幅広く身につけることが大事なのではないか。その方法論は、いろいろな状況があるから一概には言えないし、乱暴にいえば、方法論などどうでもい…

コトバを教えるには順序があるし、結局は繰り返しが大切

コトバを教える際に、順序というものがある。 例えば、日本語のむずかしい点のひとつに名詞の数え方がある。 馬は一頭、二頭と数えるし、蛙なんかは、一匹、二匹だ。本は一冊、二冊で、卵は、一個、二個。母語話者である日本人にとっては、すでに慣れてしま…

コトバを学ぶときは「演繹的アプローチ」と「帰納法的アプローチ」を合わせて使う

明日マオリ語の試験があるので、結構勉強した。 ジョージに紹介された"Dictionary of Language Teaching & Applied Linguistics (3rd Edition)"の本にもあったが、コトバの勉強には、「演繹的アプローチ」と「帰納法的アプローチ」とがある。 私の理解では、…

コミュニカティブアプローチの目的と導入するための条件

マオリ語による口頭発表を生徒の立場でやってみて、コミュニカティブアプローチがよいと私が思う点は、「自分でも外国語が話せる(のではないか)という自信がつく」「外国語を使える喜びを味わえる」「達成感がある」ということだろう。確かにこれはいいこ…

学習者中心という教育思想を支える教育条件・教育環境

24年前にサンフランシスコのUCバークレーでアメリカ英語の集中講座を受けたことは前に少し触れた。そのとき、各講師が、授業の感想として、受講生に授業評価をアンケートでしていたことがとても新鮮だったことを覚えている。 例えば、「この講師は授業で教え…

ふたたび「言語活動」について=「リズム」「スピード」「パワー」=

昨日の日記で書いた内容の続きだが、マオリ語のクラス仲間では、おそらく私が一番マオリ語の語彙が少ないだろう。けれども時間をかけるならば、文法的にたどったり、辞書を丹念に引いたりして、たとえ学ぶ速度は遅くても、なんとかやれる自信はある。だけれ…

日本の外国語教育は、もっと条件整備に努めるべき

日本の英語教育は、明治時代と比べてみても、英語圏のことを体験的によく知らない私*1のような日本人教師だけで授業をやってきた時期が戦後は長く、私が働いている高校でも、ようやくこの10年以上ほど前から、オーラルコミュニケーションの授業などに限って…