すでに前に報道されていることだけれど、カネボウの粉飾決算事件で、監査法人の大手のひとつ、中央青山監査法人が金融庁から業務停止命令を受けた。業務停止処分で、2000社以上の監査業務を停止せざるをえないという。
監査法人が、会計監査ができず、粉飾決算に加担した事件だから、事態は深刻だ。
私は一般企業に勤めたことがないので、詳しくはわからないしコメントもしようがないのだが、何故こういう事件が後を絶たないのだろうか。
これは単なる私の想像にすぎないのだが、本質的には、自分の仕事に対する根本的な理解がない、プリンシプルI(原理原則)がないことが根本原因だろう。さらに、よそでもみんなやっているという合理化、内部告発しにくい体質があるのだろう。疑問に思う者がいたとしても内部告発しようとするようなものが少なく、いたにせよ、異端視され、逆に、いじめられる体質があるに違いない。
けれど、まさにこれは逆だ。
内部告発するような少数派が、実は、その組織を守ろうとしているし、客観的に見ても、実際に守っている。
というのも、「他のところでも、みんなやっている」というような薄っぺらい「現実主義」、短期的な視点ではなく、「そもそも論」を重視し、プリンシプル(原理原則)をもってして長期的に物事を考えているからだ。ある意味で、そうした少数派が、最後の砦になっていると言えよう。
私の関わっている教育現場でも、最近は、大変残念なことに、大学間競争と経営ばかりが強調され、教育の原理原則がないがしろにされることが少なくない。
さらに悪いことに、もっと教育の原理原則を大事にしろと現場から主張しても、最近の傾向として、耳を貸さない経営者が多くなってきている。
やるべきことをやらずして、やってはいけないことをやっている日本。
これではよくなるはずもない。
教育基本法の改悪、沖縄の米軍基地再編。
これらも、やるべきことをやらずして、やらなくてもよいことをやっている典型に他ならない。