神谷丹路さんの「韓国 近い昔の旅―植民地時代をたどる」を読んだのはいつ頃だったろうか。
この本の発行年を見ると、1994年になっているから、おそらくその頃だろう。
「取り出せなかった千円札」という1981年の頃のエピソードをはじめ、「日帝三六年」について詰問された「寮祭の夜の出来事」。安重根義士記念館について書かれた「最後の遺墨」など、はじめてこの本を手に取ったとき興味深く読んだことを覚えている。どちらかというと、筆者の体験をもとにしたルポルタージュのようなスタイルになっている。
それぞれのコラムも面白く、今回ソウルを旅するにあたって、ざっと読み返してみると、「食器・箸・スプーンがすべて金属製」であること。「箸とスプーンのセット」を「スジョ」と呼ぶこと。「このスジョの習慣が日本とは大いに異なる。スプーンはともかくとして、箸が金属というのは、はじめは結構抵抗があるものだ。しかし、慣れればこれも使い方次第」などと、細かく書かれていた。
内容がしっかりしている「韓国 近い昔の旅―植民地時代をたどる」は、韓国の紹介本として、お薦めの一冊だ。現在手に入るものは、新版らしい。表紙が違っていた。