「グリップがすごい、ということで驚かせる人はいまは非常に少ない」

amamu2007-02-21

 昨日の朝日新聞の「鶴見俊輔さんと語る」で、鶴見氏が「教育の問題はねぇ、どうして明治初年から東大でも創造的な学者が出たのかということです。夏目漱石森鴎外が、そうです」と、大変面白いことを言われている。そうして、「漱石は、イギリスの近代文学が自分の考えてきた日本や中国の文学と全然違うのはなぜか、という問題を解こうとして大変苦労した。漱石が生きている間は文化人類学が発達していないから解けないんだが、彼の問題の立て方はオリジナルで、すごい。そのグリップの強さが生涯続いた。 グリップがすごい、これは独創性がある、問題をつかんでいる、ということで驚かせる人はいまは非常に少ない」と鶴見氏が続け、対談相手の上野千鶴子氏が「大学はそういう人を育てられないですよ。そういうシステムじゃないですもの。問題をどう自分の中に立てるかということだけは、だれにも教えられないです」と、創造的な人間の育成のむずかしさを述べていた。