それで、教員免許制度であるが、仮に教員免許制度が導入されていたとすれば、私の場合、2回の免許更新の時期を経たことになる。
まず最初の10年間であるが、教師という、職業倫理の厳しい職種の、まさに修行時代といえる時期だったが、若さを武器に溌剌と仕事をしていたこともあるけれど、同時に精神的には不安定な時期でもあった。この厳しい時期に、もし免許更新があれば、辞めていたかもしれない。
次の10年間は、そうした不安定な時期を乗り越えて、いろいろな意味で充実した教員生活であったけれど、同時にそれは無茶苦茶忙しい時期でもあった。まさに気迫がなければ仕事にならない時期であった。もし免許更新制度があったとして、はっきり言って、免許更新などにかまけていられる状況ではなかったように思う。
そして3回目の更新時期をもうすぐ迎えることになるが、自らの教師生活にどう幕引きをし、リタイアするのかということを視野に入れながら、免許更新を考えなければならないので、これまたはっきり言って、免許更新に対して関心は低くならざるをえない。
通常、22歳、23歳で、新卒教員になったとして、4回の免許更新で、最長40年の教員歴を得られることになる。したがって、長い教員生活でも、4回の更新が最大であろう。
結局、教員は全て0から4回の更新となる。
毎日毎日が厳しい自己との闘いである教員生活にとって、こうした免許更新に大きな意味があるとは到底わたしには思えない。