いよいよ選挙ですね

amamu2007-03-30

 道府県政令市議選が30日に告示された。
 今回の選挙では、何が争点なのだろうか。
 私なりに考える争点の一つ目は、なんといっても平和の問題である。
 アメリカ合州国の戦略に巻き込まれ、無批判的にアメリカ合州国の政策に追随している悲しき日本だが、すでに戦争に加担させられているものの、憲法九条が改悪されたら、いよいよ大手を振って戦争ができる国になってしまう。改憲手続き法案(国民投票法案)は何としても阻止しなければならないと考えるが、まさに今回の選挙では平和が問われているといえるだろう。もちろん、今回は国政選挙ではない。都道府県知事選挙・市会議員選挙であるのだが、それでも、平和の問題が鋭く問われているように思う。外に眼を向けると、アメリカ合州国内でも、世界でも、そして日本国内でも、イラク戦争に反対する声は広がっている。すべての候補者はこの問題に触れるべきだと思う。
 第二に、教育が問われていると言えるだろう。
 教育基本法が昨年改悪され、続いて教育三法の成立が目論まれている。
 先日も、道徳を、点数評価が必要な教科とする案が浮上してきていると報道されていたが、道徳を点数評価する教科にすることには不安がある。国民の教育権や教育の自由がないがしろにされ、現場では教員の良心が貫けなくなってきているような気がしてならない。今回の選挙では、国民の立場に立った教育を貫けるのかどうかも争点だ。
 モラルの低下や社会的意識の低下を憂う点では私も人後に落ちないつもりだが、それを教育基本法のせいにしたり、道徳教科導入の理由にしたりするのは明らかに間違いだ。私見では、子どものモラルの低下は、大人のモラルの低下に大きな原因の一端がある。一例をあげるならば、いまの政治家のモラルはどうなのだろうか。子どもにいじめが広がるのも、大人がいじめ社会だからだ。だから、大人の社会に反省すべき点があり、変える施策をうつなら、そちらが優先させなくてはいけない。そもそも働く者たちが大切にされているのだろうか。若者にきちんとした仕事や未来がなければ、子どもたちがさまざまな問題を抱えるのは自然なことであり、子どもたちをなじっても、それは大人げないというものだ。
 また学力テストについても深い疑問と大きな不安がある。
 生徒の基礎学力を徹底して身につけさせることはもちろん重要な課題だが、いま小学生や中学生に導入されようとしている学力テストはどうなのか。ひとつ強調したいことは、小学校の学力テストが民間業者のベネッセに丸投げであるという点だ。多くの小学校の先生方はこのことを知っているのだろうか。教員が多忙なことはわかっているつもりだが、学力テストを導入するにしても、なぜ現場で英知をあつめて作成しないのだろうか。なぜ自らの手で採点しないのだろうか。民間の業者に丸投げでは、それは教育の放棄ではないのか。一般論で恐縮だが、いま学校現場は、学校間の競争をあおられて、金儲けの食い物にされようとしているように思う。教育の原理は会社の原理とは違うのに、会社の原理が教育現場に持ち込まれようとしている。否、すでに持ち込まれている。これでは教育がよくなるはずがない。世論調査でも教育が悪くなっていると心配する声が高まっているのも当然である。
 第三に、政治とカネの問題である。
 議員会館の光熱水費を05年だけで507万円、5年間で3千万円近く計上していた松岡農水相の光熱水費疑惑問題や政務調査費の問題。政治とカネの醜聞が続いている。
 第四に、格差社会の問題であり、どういう社会をつくるのかという問題である。
 暮らしの問題では、庶民への大増税と企業優遇政策の問題だ。
 先日東京ミッドタウンのザリッツカールトンホテルのオープンがニュースになっていたが、べらぼうに高い宿泊費は、バブルに踊る少数の人たちを相手にてしているようだ。二極分解の格差社会は、ますます固定化されていくようだ。
 こうした社会を是とするのか否かが、今度の選挙で問われている。
 他に、というよりも、最優先すべき問題として、原子力発電や地震対策など、国民・市民の安全を守る政治が鋭く問われているのだが、課題が山積で、もう止めるが、安倍内閣の支持率低下に対して前小泉首相は鈍感であれと助言めいた発言をしたことは以前紹介したが、こうした課題山積の前で国民・市民が鈍感であってはなるまい。


 さて、既成政党を「しがらみ」と呼んで、政党をないがしろにしている候補者が少なからずいるようだ。今度の選挙では、無党派と自称することが風向きとしていいようだが、候補者の政治意識としてこれでいいのだろうか。さまざまな経歴を見るならば、これまで各種の既成政党で育った方々ではないのか。今の風向きで発言をしているとそれば、それはあまりにもご都合主義(double standard)というべきものではないのか。アンケート調査でも投票者も政党で選ばないという人が多いようでもある。けれども、日本の未来を決める大切な選挙に、そんなふわふわした感覚で投票して大丈夫なのだろうか。
 これまでのその立候補者の経歴も見ないといけないし、政策できちんと選ぶべきだ。
 マスコミもだらしないものだから、情報共有・判断という点で国民が鈍感にさせられている気がしてならないのだが、国民や市民の投票行動は何よりも重要である。一人ひとりの大事な選挙権を無駄にしてはならない。