ハワード・ジンによるリード大学での講義CDを聞いた

A People’s History of the US

A People's History of the United Statesというハワード・ジン(Howard Zinn)による1995年のリード大学での講義CDA People's History Of The United States: A Lecture At Reed Collegeを聞いた。
 ハワード・ジンは、A People's History of the United States (Modern Classics)を書いた進歩的な歴史家として有名だが、彼の経歴は、アカデミズムを予定調和的に上り詰めたわけではない。労働者階級の階層に生まれ、たいしたことをしてもないのにお金を儲けている金持ちがいる一方で、自分の父も母も一生懸命働いていたが、けっして裕福ではなかったという。こうした経験が階級意識を幼い彼に植えつけられたとのことだ。3年間、造船所で働いたこともあり、第二次世界大戦では爆撃手として参加した。彼の歴史学が、その立場が中立ではありえないと自ら喝破しているのには、こうした背景がある。
 南部はジョージア州アトランタにあるスペルマンカレッジで教鞭をとり、市民運動にも参加し、その後はボストン大学で教鞭をとった。
http://howardzinn.org/default/
 講演のテーマとして、歴史とは何か、フィリピンの征服、ベトナム戦争階級意識階級闘争アメリカ革命、大きな政府による大企業優遇政策、労働運動、労働とは何か、第二次世界大戦公民権運動など、話は多岐にわたる。
 ハワード・ジンによれば、第二次世界大戦は、よい戦争と言われるが、このよいには、カッコをつけて、「よい」戦争としなければならない。それは戦争となれば、相手が悪く、自動的に自分たちの側が正義となることが多いけれど、それはよくよく注意をしなければならない。ひとたび戦争となれば、ヒロシマナガサキのように、無辜の人々が大量に死ぬからだと語っていた。
 Mother Jonesの話で、1903年頃、炭鉱での児童労働に抗議して、子どもたちが"We want time to play."と主張し、ワシントンDCまで行進したという話など、ハワード・ジンから学ぶことは多い。
http://en.wikipedia.org/wiki/Mother_Jones
 ゆっくり語る彼の言葉には、ヒューマニズムとユーモアが感じられ、わたしは好感を抱いた。