朝日新聞に「寅さんの伝言」という「男はつらいよ」映画に出演した男優・女優さんが、渥美清など映画を語るコラムがある。
29日付のコラムでは、俳優で渥美清の付き人をしていた石井愃一さんが渥美清さんの仕事ぶりについて語っている(大衆文化担当・小泉信一)。
自宅とは別に、東京・代官山の東急アパートを仕事場にしていた渥美清は家庭についてこんなことを語っていた。
「芝居やっててね、扶養家族が精神面にチラチラあらわれたらいけないと思うな」
「精神を、いつも鉛筆の先のようにとがらせておく。だからひとりでいたいんだよ」
これは家庭人として勝手な言い分だろうが、わかる。
10畳ほどの1DK。ベッドわきには新刊本がいつも置いてあり、冷蔵庫には飲み物ぐらいしか入っていなかった。
渥美が出演するテレビ番組が放送される日。代官山のアパートに行って録画するのが石井の役割だった。渥美が不在のときは、フロントから部屋の鍵を借りたという。
「渥美さん、あとで必ず見るんです。『馬鹿だねえ。この男は』なんて言いながら自分を笑っていました」
新聞や週刊誌の切り抜きは業者に依頼。まとめてアパートに郵送してもらっていた。
「何が書かれているのかアンテナを張っていました」
なにごとも、「仕事」とは厳しいものだ。また渥美清さんが猛烈な勉強家・hard workerだったことが理解できる。
「寅さん映画が公開されると渥美は各地の映画館に出かけた」という。観客に紛れて反応を観察したのだという。「その土地土地で客の反応がどう違うのか自分の目で確かめたかったのだろう」。
渥美清さんの情報管理の徹底ぶりは有名だ。「自由人だった」渥美清さんが45歳のころ残した俳句*1も紹介されていた。
山吹キイロひまわりキイロたくわんキイロで生きるたのしさ」