映画「十二人の怒れる男」

12人の怒れる男

 9月14日付けの朝日新聞の「私のグッとムービー」欄で、漫画家のちばてつやさんが映画「十二人の怒れる男」を紹介している。
 映画「十二人の怒れる男」は、1957年のシドニー・ルメット監督の作品。ヘンリー・フォンダが主演している。

 映画「十二人の怒れる男」は、私がかけだし英語教師になって、映画で英語を学び始めたときの教材の1本である。
 この映画も、何度観たかわからない。
 当時、力量不足の私にとって、シナリオ台本を入手することが大きな課題であった。
 その点、"Twelve Angry Men"(12人の怒れる男)は、劇の台本がペーパーバックとして売られていたから、好都合だった。
 いまは、DVDの時代、DVDの中に、日本語字幕スーパーはもちろん、英語字幕も出せる時代であり、隔世の感がある。
 私が映画で英語を学んでいた頃は、ビデオデッキもなかった。教室で、教室を暗くしなくても、ビデオデッキでビデオテープで授業をやれるようになったのも、その数年後という時代だった。

 ちばてつやさんが「十二人の怒れる男」を「初めて見たのは20歳の頃」。もちろん、「民間人が裁判に加わる制度は当時なかった」。
 ちばてつやさんは、「十二人の怒れる男」について、「非白人や女性がいないところには時代も感じますが」と当時の時代的制限についても的確に触れながら、「派手に立ち回るだけがドラマじゃない、心の動きこそがドラマだと得心できます」と語っている。

 

疑問を感じたら1人でも声を上げる大切さがよくわかったし、話し合うことで人の考えが変わるのも痛快でした。(ちばてつや

 「対話と討論」の重要性。
 「すべてのものは疑うに価する」という姿勢が理性的。
 一面的な認識が、「対話と討論」によって、多面的・全面的な認識へとくみ変わっていくドラマツルギーが堪能できる「十二人の怒れる男」は、「ヒューマニズム」「人権」「民主主義」に合致した良心的作品であるからこそ、英語教材としても推薦できる1本である。