"A People's History of the United States"を書いたHoward Zinnの"The People Speak"をながめていたら、"Women's Declaration of Rights"という箇所で、アメリカ独立宣言(The Declaration of Independence)を下敷きにして、女性の権利宣言を述べている文章に遭遇した。
アメリカ独立宣言が、市民革命としての歴史的な画期的意義があること、そして、さらに普遍的な意義があることはまぎれもない事実だが、その「人間の権利」の中には、とりわけ歴史的な意味合いにおいて、先住民や黒人、そして女性の権利が含まれていなかったという歴史的限界があることも事実である。
そもそも、all men are created equalといわれるように、menが広義の意味で、「人間」を意味することがあるにしても、狭義の意味で、「男性」を表すとすれば、そのmenを用いて、「人間」の権利を述べているところに限界があることを指摘しうるのかもしれない。
ロンドンで1840年におこなわれた世界反奴隷制の大会(a World ANti-Slavery Society Convention)で、その大会に女性が参加できるか否か、それ自体に大きな論争があったという。
こうした歴史的事実についても、私は知らなかった。結局、カーテンで仕切られた場所での参加になったという。当時の女性たちは、「女性という存在は見えない、なんでもない存在で、主婦ということがすべてであったのだ」("A woman is a nobody. A wife is everything.")。
独立宣言をもじったDeclaration of Sentiments and Resolutionsには次のようにある。
「独立宣言」のmenがmen and womenに置き換えられている点が、たいへん興味深い。
We hold these truths to be self-evident: that all men and women are created equal;(われわれは、次のことを自明の真理であると信ずる。すべての人、すなわち、男性と女性は平等に創られているのであると。)