「信教、思想・良心、宗教、表現、集会・結社の自由が危うくなっている」(大江健三郎)

amamu2013-12-11

 ノーベル賞作家の大江健三郎氏が、大阪市内で講演し、特定秘密保護法によって「憲法上の権利が脅かされる危機感を訴えた」と12月11日付朝日新聞が報じている。
 以下、その記事から一部引用する。

 大江さんは、秘密法を「憲法を改正せずに日本の国家を変えようとしている」と位置づけ、安倍晋三首相が「一般の方が巻き込まれることはない」と説明した点を疑問視した。(中略)「いじけてしまって何もしなくなる、真実や必要なことを言わなくなる人が日本の社会の節目節目にでき、日本全体が揺らぐことが起こる、と非常に暗い気持ちだ」
 大江さんは、「法律廃止のために投票行動で意思を示し、国会を注目し続ける必要がある」と呼びかけた。

 秘密法が「憲法を改正せずに日本の国家を変えようとしている」という大江氏の指摘はその通りだろう。であるとするならば、次の日本国憲法の第98条と第99条に抵触しないのだろうか。憲法学に明るいわけではないが、私には根本的な疑問がある。

 

第九八条

 (1)この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
 (2) (略) 

 第九九条

 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 また、第97条。

 第九七条

 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。