国民投票法、成立

amamu2007-05-15

 昨日、改憲手続き法案である国民投票法案が参議院本会議を通過した。
 国民投票法といいながら、自民党公明党の政府与党だけで強行採決してしまう結果となった。
 今日の朝日新聞で、弁護士の熊野勝之氏が、『国民投票というからには、国民に等しく投票権が保障されねばならないが、この法律はそうではない。すべての市民に政治参加を保障する国際人権規約に違反するのは明らか』であると、重大な問題点を指摘されている。
 なにも書かないいわゆる白票の扱いについて、憲法96条の、改正にあたっては投票の過半数の賛成を必要とすると定めていることから、これが「白票も含めた総投票数の過半数であることは憲法の英文が「all votes(すべての投票)」となっていることからも明らかである」のに、今回の法律は白票の扱いを無効とし、「有効票の過半数で決めるという仕掛けになっている」と指摘され、「国民投票法は、本来の過半数にならない数でも憲法改正が承認されたことにする法律である」と結論づけ、この問題点を国連に訴えるべきと主張されていた。
 今回の国民投票法案を政府・与党が通したかったのは、その先に憲法九条の改悪問題がある。平和憲法を捻じ曲げ、日本を、再び軍隊を送れる戦争のできる国にしようという意図は明白である。
 そもそも、憲法は、あの侵略戦争の反省に立って制定されたものであり、国民主権基本的人権の擁護、平和主義という憲法の三原則は、簡単に変えるべきものではないし、変えられるものでもないはずだ。
 国民主権基本的人権の擁護、平和主義という憲法の三原則とは、国民が主人公であり、平和に生きる権利や生存権をはじめとして基本的人権の擁護のために、政府が組織されているのであり、この点では、安倍首相をはじめとして、行政機関である内閣は憲法を順守することが義務のはずである。
 私たち教育労働者の多くの先輩たちは、多くの犠牲者を出したあの侵略戦争から教訓を学び、教え子を再び戦場に送らないという誓いをたてたという歴史的経緯がある。
 憲法九条の改悪を絶対に許してはいけない。
 言論の自由も危ない。
 教室内にせよ、ブログにせよ、憲法問題について、一教員として、また一市民として、自由に意見を言えなくなる日は近い。