「連載:折々のことば 962 捨てるという仕方をつうじて…」

amamu2017-12-15


 以下、朝日新聞デジタル版(2017年12月15日05時00分)「連載:折々のことば962 鷲田清一」から。


捨てるという仕方をつうじて学ぶ事柄は、実はとても多い。

河本英夫


鷲田さんのことば

 厄介な病に見舞われた哲学研究者は、ふと思い立ち、モンゴルへ、離島へ、被災地へと旅に出る。世界を語る別の言葉を求めてではなく、言葉が出現する場所、言葉とともに経験がみずからを組織してゆくその地点に戻るために。これまで自身の経験を象(かたど)ってきた知を捨て、その手前に少し戻ると、経験の「自在さ」と「弾力」が回復してくると言う。『経験をリセットする』から。(鷲田清一