「米共和党の税制改革法案、上院を通過」

 以下、BBC(2017年12月20日)より。
 結局のところ、トランプ大統領は、大企業優遇政策ではないか。
 これでは、大衆の要求を裏切ることにならないか。

米上院は20日未明(日本時間同日午後)、過去30年以上で最も広範な税制改正となる税制改革法を可決した。

これに先立ち法案は19日に下院を難なく通過した。法案を出した共和党は上下院で多数を占めている。

下院で可決された法案に不備が見つかったことから、下院は20日に再び採決、可決させる予定。

法案が成立すれば、ドナルド・トランプ米大統領は就任後初めて議会で主要な勝利を収めることになる。

税制改革案に対しては、財政赤字を拡大させ富裕層へのばらまきになるとの批判も出ているが、共和党は大企業や中小企業、個人への減税が経済成長を促進させると主張している。

上院では、議長としてマイク・ペンス副大統領が採決の結果を発表した。ペンス副大統領は、「この採決での賛成は51、反対は48。減税および雇用法案は可決された」と述べた。

採決の結果が発表される直前には、傍聴席にいた法案に反対する人々が「法案を破棄しろ」と叫びだす場面があったが、警備員らに退場させられた。

民主党のチャック・シューマー上院議員ニューヨーク州選出)は、共和党議員たちが来年の中間選挙で、「さんざんな法案」の代償を払わせられると語った。シューマー議員は、「(法案の)内容と採決はあまりにひどいもので、1年後には共和党議員たちが今晩賛成票を投じたのを恥じて、法案から距離を置こうとするだろう」と述べた。

下院では、共和党議員12人と民主党議員全員が反対票を投じたが、法案は227対203で可決され、議場内では共和党委員たちから歓声と拍手が湧き上がった。

ポール・ライアン下院議長は「きょう我々は国民に彼らのお金を返す。結局のところ、このお金は国民のものだ!」と述べた。

法案の内容

トランプ大統領が米国への「クリスマスの贈り物」と呼び、民主党のバーバラ・リー下院議員が「低・中所得層家庭への侮辱」と形容する今回の法案により、法人税は35%から21%に恒久的に引き下げられる。

さらに時限措置として、個人所得税の税率が引き下げられる。

他の主な内容

相続税の引き下げ
子供の税額控除拡大
企業が海外で得た利益への課税引き下げ

超党派の合同税制委員会は、法案が成立すれば現在20兆ドル(約2200兆円)ある政府債務が今後10年間で1兆4000億ドル(約158兆円)増えると試算している。

なぜ税制改革法案が重要なのか

この法案が大半の米国民に影響を与えることに加えて、共和党には、今夏成立を目指していた医療保険制度改革法(オバマケア)廃止法案が頓挫したことを受け、ここで政権運営能力を示す狙いもある。

2010年に成立したオバマケアは、医療保険を購入しない米国民に罰金を科している。オバマケアの廃止をめざす共和党は、税制改革法案で罰金の条項を破棄した。

民主党中間選挙を来年に見据え、一連の税制改革法案で米国の貧富の差がさらに拡大すると主張している。

(英語記事 Republican tax bill: US Senate passes reform legislation)

 記事内のバーバラ・リー(Barbara Lee)議員は、2001年の9・11に対する軍事行動に唯一反対票を投じた議員として有名。