「森友関連の文書、新たに20件 検査院検査には提出せず」

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以下、朝日新聞デジタル版(2018年2月9日20時45分)から。

 学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地売却問題で、財務省は9日、学園側との交渉内容が含まれる新たな文書20件、計約300ページを国会に提出し、公表した。学園側の要求に応じられるか、同省が内部で検討している内容。同省は昨年実施された会計検査院の検査に対し、これらの文書を提出していなかった。

 昨年2月の問題発覚後、国会も関連文書の提出を求めてきたが、同省の佐川宣寿・前理財局長(現・国税庁長官)は交渉記録を「廃棄した」と説明していた。

 財務省が新たに提出したのは、学園が土地を買う前に賃貸契約を結ぶ交渉をしていた2013年8月〜15年4月に近畿財務局内で作成された文書。9日、参院予算委員会の理事懇談会と衆院予算委理事会に提出し、報道陣にも公表した。

 財務局は、学園の要求を受けて将来土地を売る前提で賃貸契約を結ぶことを検討。文書は、担当部署からの法的な問題の照会に、法務部門がどう回答したかの記録で、学園の要望内容も記されている。佐川氏は国会で「賃貸価格について学園側に先に伝えて交渉することはない」としていたが、文書には、契約前に「国の貸付料の概算額を伝える」との記載があった。財務省は「金額そのものは伝えていない」と取材に答えた。

 会計検査院は昨年3月、土地の売却価格の妥当性などについて検査を開始し、財務省に関連文書を要求。検査院は昨年11月に報告書を公表したが、財務省が今回公表した20件を検査院に提出したのは昨年12月以降だった。検査院幹部は「検査結果には影響しない」との見方を示す一方、「検査に提出するべき資料も含まれているだろうから、遺憾だと言わざるを得ない」としている。

 財務省は18年1月にも、大学教授らの情報開示請求に対し、それまで公開していなかった学園との交渉内容が含まれる5件の文書を開示した。同省は2月1日の参院予算委で「情報開示請求への対応の過程で文書があることに気づいた」と説明。ほかにも同様の法的な検討についての文書があると認め、「(文書中に)不開示情報がないか確認している」として確認が終わり次第、国会に提出する考えを示していた。

 立憲民主党辻元清美国会対策委員長は9日、自民党森山裕国対委員長と国会内で会談し、佐川氏の証人喚問を要求した。森山氏は会談後、記者団に対し、「重く受け止める」と述べた。ただ、国税庁長官事務次官級で通常は国会で答弁しないことから、「おかしな前例を作ってはならない」とし、慎重姿勢を崩さなかった。

 交渉関連記録が新たに続けて出てきたことで、佐川氏の答弁の整合性が問われている。今後は与党が佐川氏の参考人招致や証人喚問に応じるかが焦点になる。佐川氏に対する批判も高まっており、今後の展開によっては佐川氏の進退問題につながる可能性もある。