以下、朝日新聞デジタル版(2018年3月12日13時20分)から。
学校法人・森友学園との国有地取引に関する決裁文書の書き換え疑惑で、財務省が12日、国会議員に開示した決裁文書とは別の決裁文書が複数存在することを認めました。政権や政党、国会の動きをタイムラインで追います。
財務省、野党含め国会に報告 参院予算委理事懇始まる(12:59)
午後0時59分、参院予算委員会の与野党の理事らによる「理事懇談会」が始まった。財務省の文書書き換え問題について、野党も含めた国会全体に対し、財務省が報告する初めての場となる。
自民・二階幹事長が党本部入り 西村官房副長官・福田財務次官らが待機(12:02)午後0時2分、自民党本部に二階俊博幹事長が入った。党本部4階の幹事長室にはすでに西村康稔官房副長官、福田淳一財務事務次官らが待機している。二階氏は政府側から、森友文書書き換え問題を巡る調査結果の説明を受けるとみられる。
他の自民、公明両党関係者に対しても、この日朝から財務省幹部が手分けして訪問し、説明が続々と進んでいる。
共産・小池氏「昭恵さんの名前削除、首相本人の責任に直結する極めて重大な事態」(11:45)
午前11時45分、共産党の小池晃書記局長が記者団の取材に応じた。「安倍昭恵さんの名前も削除されていたと報道されている。まさに政権中枢、安倍(晋三)首相本人の責任に直結する、極めて重大な事態だ」とした上で、「内閣総辞職に値する問題にいよいよ発展してきている」と述べた。
朝日新聞が国有地をめぐる取引の問題を報じたのは昨年2月。小池氏は、首相が昨年2月の国会で自身や昭恵氏が関与していれば退陣すると答弁したことに触れ、「この答弁をめぐって改ざんが行われたということがあれば符合する話になってくる」とし、首相答弁と書き換えとの関連をただす意向を示した。
首相夫人・昭恵氏の名前削除か 森友文書の書き換え疑惑
学校法人・森友学園(大阪市)との国有地取引に関する決裁文書の書き換え疑惑で、安倍晋三首相の妻昭恵氏の名前が削除されていたことが、複数の政権幹部の話でわかった。
一連の文書には、森友学園の籠池泰典・前理事長側の説明として、昭恵氏が森友学園で講演したという記述が含まれていたが、問題発覚後に削除されたという。
野党側は昭恵氏の証人喚問も求めている。
麻生氏が財務省入り 「進退は」の問いかけに、無言(12:00)
正午、麻生太郎財務相が財務省に入った。記者団から「大臣の責任を明確にするのか」「進退は」などの問いかけが飛んだが、麻生氏は無言だった。
首相、尾身幸次元科技相から「ご苦労ですね」(11:25)
朝から緊張が走る首相官邸のエントランスに登場したのは、尾身幸次・元科学技術担当相だ。安倍晋三首相と会談後、記者団の取材に応じた尾身氏は、財務省の文書書き換え問題を巡って「いろいろご苦労ですね」と首相にねぎらいの言葉をかけたという。記者団は首相がどう返答したかを尋ねたが、尾身氏は「何も言わなかったよ。もっと世界のことを話してきた」と述べるにとどめた。
菅官房長官、麻生財務相の進退論を否定「麻生大臣に徹底した調査の指揮をとっていただくべきだ」(11:05)
午前11時5分、菅義偉官房長官が首相官邸で午前の定例記者会見に臨む。「麻生太郎財務相の責任論についてどう考えるか」との問いに、菅氏は「麻生大臣においては今、財務省をあげて調査を行われているところであり、徹底した調査を行い、まずそうしたことはすべてはっきりすべく、指揮をとって頂くべきだ」と答えた。調査の指揮を優先させ、ただちに進退論にはつながらないとの見方を示した形だ。
麻生財務相の進退が焦点に
財務省が森友文書の書き換えを認めたことで、麻生太郎財務相の進退問題が当面の焦点となる。野党は追及を強める構えだ。
希望の党の玉木雄一郎代表は11日、記者団に「麻生氏自身の責任も問われる事態に当然なる。辞任を求めて行く動きにならざるをえない」。立憲民主党の長妻昭政調会長も「(書き換えを認めるとの報道が)事実だとしたら、政治責任は免れないのではないのか」と指摘している。
麻生氏自身は、佐川宣寿・前国税庁長官の辞任を受けた9日の記者会見で、「私自身の進退については、今特に考えているわけではない」と述べている。
自公幹部「書き換えられているらしい」政府からの報告認める(10:28)
「西村(康稔・官房)副長官から、書き換えられているらしいという報告があった」。12日午前10時30分前、公明党の大口善徳国会対策委員長が、国会内で記者団に語った。政府・与党が書き換えを初めて公に認めた。
直後に、自民党の森山裕・国対委員長も「政府から、森友学園への国有地処分に関する決裁文書に、どうやら書き換えがあったようだとの報告を受けた」と記者団に語った。
大口、森山両氏は午前9時45分ごろから、そろって西村氏から説明を受けた。約40分間の説明の後、取材に応じた。
立憲・福山氏「前代未聞の異常事態」(10:15)
立憲民主党の福山哲郎幹事長が、国会内で記者団の取材に応じた。野党はまだ財務省からの報告を受けておらず、「改ざんされる前の元の文書が提出されるとすれば」とした上で「国会審議の信頼と前提を根本から覆す、前代未聞の異常事態」と断じた。
「誰の指示で、いつ、なんのために改ざんされたのか明らかにすることは不可欠。財務省だけで判断することは絶対にない。官僚だけに責任を押しつけて済ますことはあってはならない。政府全体の責任は極めて重い。まずは、佐川(宣寿)元国税庁長官の証人喚問を求めたい」と述べた。
安倍首相、記者団の問いかけに答えず
安倍晋三首相は12日午前9時過ぎ、首相官邸に入った。記者団の「財務省が書き換えを認めるとの報道について受け止めを」との問いかけには答えず、硬い表情で執務室に向かった。
首相は2日に書き換え問題が発覚して以降、財務省に対応させる姿勢を強調してきた。5日、参院予算委員会で「私は全くこの話、あずかり知らないから答えようがない」と答弁。8日の同委で「できるだけ早期に説明できるよう、同省をあげて最大限努力をしてもらいたい。政府も誠意を持って対応する」と述べた。
10日も記者団に「同省において来週早々に(調査)結果について示せるよう全力で取り組んでもらいたい。麻生(太郎)財務大臣をはじめ同省を挙げて取り組んでもらいたい」と対応を委ねた。
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財務省の森友文書書き換え問題は、今月2日に朝日新聞が報じた。同省は同日、6日までに調査・報告すると国会に約束。だが6日の報告は「文書をただちに確認できない」などとする内容にとどまり、野党は「ゼロ回答」と反発。自民党の二階俊博幹事長も会見で「理解できない」と述べ、対応が後手に回る展開となった。
同省は8日になって近畿財務局の決裁文書のコピーを開示したが、すでに国会議員に開示されていた物と同じで、疑惑払拭(ふっしょく)にはつながらず。9日午前には、同局職員が自殺していたと見られることも明らかとなった。同日夜、決裁文書の国会提出時の担当局長だったなどとして、佐川宣寿国税庁長官が辞任した。