「野党「原本を」 財務局「本省指示ないと…」 森友文書」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年3月5日23時03分)から。

 森友学園大阪市)との国有地取引をめぐり、契約時点とその後に国会議員らに示した公文書の内容が違っている問題で、財務省は5日、契約時点の文書の存否を明らかにせず、6日の参院予算委員会理事会で調査方針を報告する考えを示した。野党は説明を先送りする政府の姿勢に強く反発。安倍政権に対する責任追及を強めている。

 「原本を見せて頂きたい」。5日夕、大阪市財務省近畿財務局。国会に提出された公文書の確認を求め、立憲民主、希望、自由、社民の野党4党の国会議員が財務局側に詰め寄った。

 この日午前の参院予算委では、麻生太郎財務相が「『個別に調査を』と言われるが、捜査当局は口裏合わせと取りかねない」と主張。内部調査そのものに後ろ向きな政府の姿勢に4党は反発。そのまま、近畿財務局に乗り込んだ。

 希望の今井雅人氏によると、近畿財務局の担当者は「本省の指示がないと動けない」と説明を拒否。今井氏は「真実を明らかにしようという気がまるで感じない」と記者団に話した。

 財務省本省も、太田充理財局長が午後の参院予算委で「捜査への影響が予見しがたい」などと述べ、先週と同様、具体的な説明を避け続けた。共産党の辰巳孝太郎氏は「週末はどうしていたのか。(文書の存否確認は)電話一本で済む話。文書はあったのか」と追及。自由の山本太郎氏も「どうして改ざん前の文書に限って存在の有無さえ言わないのか」と批判した。

 予算委後に野党6党が合同で実施したヒアリングは、文書の保管場所についての財務省の説明をめぐって紛糾した。

 富山一成理財局次長は当初、野党6党の国会対策委員長らに「原本は近畿財務局にある」と説明していたのに、中村稔・理財局総務課長が近畿財務局を訪問していた野党議員らへの電話で「捜査当局に出していて現物は近畿財務局にもない」と説明を変えたからだ。

 立憲の辻元清美国対委員長は「不可解なことが起こっている。1時間の間になぜ変わるのか」と指摘。富山次長は陳謝した。出席した野党議員から「その『原本』とは書き換え前の原本のことか」と問われた財務省は「その点も含めて6日に報告したい」と述べた。

 自民党参院幹部によると、財務省は6日の参院予算委理事会で「(一連の)文書は大阪地検に任意提出し、手元にはない」と説明するという。(竹下由佳、南彰)
存在否定から一転認める 加計学園・PKO日報・裁量労働制

 加計学園問題、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題、裁量労働制の不適切データ問題。安倍政権は行政記録の存在をいったんは否定しながら、その後、一転して認める対応を繰り返してきた。

 「去年から文部科学省防衛省もそう。役人が政権のために尻ぬぐいをさせられている」。立憲民主党福山哲郎幹事長が5日の参院予算委員会で指摘したのも、この点だ。文書書き換え疑惑で答弁に立ち続ける財務省の太田充理財局長に「気の毒だ」と語った。

 森友学園への国有地売却問題では、佐川宣寿理財局長(現国税庁長官)が国会で「交渉記録は廃棄した」と答弁したが、その後、交渉経緯を含んだ内部文書を開示することに。加計学園問題では、獣医学部新設を「総理のご意向」などと記した文科省の文書の存在が報じられたが、菅義偉官房長官が「怪文書みたいなもの」と一蹴。後に調査で存在が確認された。日報問題でも、防衛省は情報公開請求に対して「廃棄した」として開示を拒否したが、後に見つかっている。

 共産党小池晃書記局長は5日の記者会見で「強引な政策決定が矛盾を来している。隠蔽(いんぺい)とか改ざんとか問題が同時に出ているのは、決して偶然ではない」と述べた。(山岸一生)