「「捜査」盾の財務省、国会紛糾し方針転換 森友文書問題」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年3月2日23時46分)から。

 森友学園への国有地売却問題で、財務省の公文書の重要部分が書き換えられた疑いがある――。2日、公文書管理の根幹に関わる疑惑が明らかになった。財務省は国会で一日中追及を受け、調査実施の表明に追い込まれた。一部の政府関係者には不安も広がる。

 「財務大臣財務省局長の国会答弁に尽きる。必要であれば財務省にお問い合わせ頂きたい」「財務省における文書の作成、管理の問題だ」

 菅義偉官房長官は2日、午前と午後の定例会見で繰り返し質問を受けたが、同じような回答に終始し、財務省の責任であることを強調した。昨年、加計学園をめぐる文部科学省作成の文書を当初は「怪文書」と切り捨てた会見とは対照的に、言いぶりは慎重だった。

 官邸内には、問題の文書が最終決裁に至る前の未確定の文書であるかのようなとらえ方をする幹部もいた。その一人は「決裁の過程で上司が部下の文書を書き換えることはよくある」と述べた。

 財務省が「調査」に言及した点についても冷ややかで、官邸関係者は「書類は全て検察に渡しているので本格調査はできない」と語り、真相解明に積極的な姿勢はうかがえない。

 しかし、別の政府関係者は「決裁印が押された後に議員への開示用に改変するのはダメだ。普通そんなことはしない」と語り、問題が深刻化することへの不安をのぞかせた。

 安倍政権は、厚生労働省のデータ問題で、働き方改革関連法案から裁量労働制拡大の全面削除を決めたばかり。野党が攻勢を強める中、与党は事態の推移を見守る姿勢だ。定例会見で自民党竹下亘総務会長は「実態を調べないとコメントする状況にない」、公明党井上義久幹事長は「検察の捜査で明らかにしていただくことが一番だ」と述べるにとどめた。

 「捜査に全面的に協力している段階」「捜査にどのような影響を与えるか予見しがたい」

 2日の参院予算委員会。文書の書き換えの有無を問う共産党小池晃議員に対し、政府は30回以上にわたって「捜査」という単語を使い、説明を避けた。小池氏は「出せないということは、(書き換えが)あるということじゃないか」と批判。審議は紛糾し、何度も中断した。

 麻生太郎財務相は「今、私どもの手元に資料が一切ない」と説明。小池氏が「近畿財務局にないのか、財務省にないのか」と迫ると、太田充理財局長は「財務局で把握して保存しているものは国会に提出している」と述べた。

 野党は、財務省が1〜2月に新たな関連文書25件を公表し、国会で質問に答えてきた経緯を挙げ、「なぜ今回だけ『捜査に影響がある』のか」と批判した。

 大阪地検は公用文書等毀棄(きき)や証拠隠滅の容疑で告発を受理している。容疑の内容は、同省が学園との交渉記録を廃棄したことに関するもので、決裁文書の書き換えではない。だが、太田氏は「ある意味で、今回の報道は証拠隠滅、公用文書等毀棄のそのものの話だ」として書き換えの事実確認に応じなかった。

 一方、省内の調査に関する答弁は、一日で大きく変わった。午前の野党議員の会合では富山一成・理財局次長が「財務省として調査をする気はない」と断言した。だが午後に「改ざんしてないと言えないのか」と詰め寄られると、太田氏が「捜査の影響がないと考えられる段階で、なお必要があれば調べる」と方向転換。夕方の衆院財務金融委員会では、6日までに調査結果を報告すると確約することになった。

 ただ、書き換えの有無につながる部分は、正面から答えないまま。夕方にあった野党の会合。理財局の中村稔総務課長は、前日に朝日新聞から取材を受けた後で財務局に書き換えの有無を確認したか問われると、「捜査への影響」などを理由に明言を避けた。