「佐川氏へ「納税者一揆」デモ 確定申告開始、国税庁包囲」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年2月16日21時57分)から。

 所得税の確定申告が16日、始まった。ただ、徴税事務トップの佐川宣寿・国税庁長官に対しては学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる国会答弁に批判が高まったまま。この日も市民団体が各地で抗議活動を展開した。国税庁が入る東京・霞が関の建物を大勢の市民が包囲して声を上げる異例の事態に、国税職員からは「今年はやりにくい」と弱音も漏れた。

 東京都台東区の女性(71)はこの日、確定申告のために東京上野税務署を訪ねた。保管していたはずの領収書が見つからず、「こういう時、財務省の人たちはどうするのだろう」と思ったという。「自分たちは書類を捨てておいて、納税者には『書類をとっておけ』というのは矛盾していると思う」

 別の男性(82)も「佐川さんの国会答弁はウソに違いない。納税するのがバカバカしいと思う人もいるだろう」と話した。

 森友学園に売却された国有地がある大阪府豊中市。近所に住む女性(51)は、ブログの広告収入などの確定申告で豊能(とよの)税務署(同府池田市)を訪れた。

 「家事やパートの傍ら、子どものために稼いだ大切なお金。それを受け取る組織のトップが国民に向き合おうとせず、逃げ回ってばかりで、馬鹿にしているとしか思えない。やましいところがなければ堂々とできるはずでしょう」と憤る。

 一方で「職員は例年以上に丁寧に対応してくれた気がする。佐川長官の問題で、現場に迷惑がかかっていると思うと気の毒」と話した。

 確定申告をする人は例年2千万人を超え、担当部署以外の職員も窓口対応などに当たる「最重要のイベント」(ベテラン職員)だ。「長官の問題と現場の業務は関係ない」と冷静な職員も多いが、佐川長官は昨年7月の就任会見すら開かず、野党が求める国会出席は与党が拒否。説明責任を果たしたほうがいいとの声は国税組織の内部でも高まってきている。

 男性職員は「佐川長官が会見さえ開いていれば、こんな事態にはなっていなかった。長官に会見を開くよう進言できない取り巻きの幹部連中も情けない」とため息をついた。

 「国民なめんな」「納税者一揆」――。国税庁財務省が入る霞が関の庁舎は同日午後、そんなプラカードを掲げた市民に取り囲まれた。醍醐聡・東大名誉教授らの市民団体がデモを呼びかけ、1100人(主催者発表)が集まった。こうしたデモに初めて参加したという埼玉県川越市の主婦長瀬美穂さん(62)は「佐川さんは国会で正直に話してほしい。最近、何かおかしいと思うことが多いので、声を上げていきたい」と話した。大阪や福岡でも国税局前で抗議活動があった。

 (後略)