「「撤去費は不明確」文書作り…財務省側、森友に署名要求」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年4月12日09時02分)から。

 森友学園への国有地売却問題で、約8億円の値引きの根拠とされたごみの撤去費をめぐり、財務省側が昨年2月の問題発覚後、実際の撤去費についてはっきりしないとする文書を作り、学園側に署名を求めていたことがわかった。大阪地検特捜部もこうした経緯を把握しているとみられる。

 財務省の太田充理財局長が11日の衆院予算委員会で、立憲民主党川内博史氏の質問に答えた。太田局長は「行き過ぎで、好ましくない対応だったと考えている」と述べた。文書を作成した当時は、値引きの根拠となったごみの撤去費より、実際にかかった額が少ないのではないかなどと国会で議論になっていた。

 ごみの撤去をめぐっては、財務省が学園側に「トラック何千台」などと口裏合わせを求めていたことを認めており、複数回にわたって学園側に働きかけをしていたことが明らかになった。

 太田局長によると、近畿財務局が昨年2月中旬、ごみの撤去費を学園側に問い合わせたところ、学園側から「全体としてはっきりしない」との回答を受けた。財務省側は、学園側の認識を明確に文書で確認しようと判断。理財局の依頼を受けた近畿財務局が回答の内容を文書にまとめ、同17日に学園側に署名を求めた。だが学園側は「(文書に)署名を残すと内容に全面的に責任を負うことになる」などとして署名を断ったという。

 このほか、8億円分のごみを撤去すると「ダンプカー4千台分ぐらいになる」との野党側の追及を受け、理財局職員が昨年2月20日、学園側に「費用が相当かかった気がする、トラック何千台も走った気がするといった言い方をしてはどうか」と口裏合わせを求めたことが今国会で明らかになっている。
価格の妥当性、正面から答えない首相

 約6時間にわたって開かれた11日の衆院予算委の集中審議。森友学園との国有地取引をめぐり、財務省の公文書改ざんに加え、価格の大幅値引きへの追及が相次いだ。

 「今でも8億円の値引きは当然という認識は変わらないか」。希望の党玉木雄一郎議員が売却価格の妥当性を問うと、安倍晋三首相は「財務省国土交通省から説明するべきだと思う」と正面から答えず、こう言った。「私がすぐ直ちに答弁する立場ではない」。ごみ撤去を根拠とした値引きについて「そういう価格になったのは至極当然」と述べた昨年3月の答弁を修正したかのようにも映る。

 「ふざけるな」。怒号が飛び交うなど委員会室が騒然とする中、首相は「私が適切かを行政府の長として決めつけるわけにはいかない」と答弁。それでもやまないヤジには「冷静になって議論をしましょう」と、いらだった様子も見せた。

 この日の集中審議では、同省理財局の職員が昨年2月、ごみの撤去について「トラック何千台も走った気がするといった言い方をしてはどうか」などと虚偽の説明をするよう学園側に求めていた問題でも追及が続いた。

 「値引きが適正でなかったから、口裏合わせを頼みこんだ」。共産党宮本岳志議員が首相に対しごみの積算量が適切だったかを問いただしたが、答弁に立ったのは同省の太田充理財局長。「総理、ごみがあるかちゃんと答えろ」とヤジが飛び交う中、太田氏は「積算はしかるべきものとして受け止めている」と述べ、従来の主張を繰り返した。

 その後もごみの積算について追及を続けた宮本氏。「十分な根拠が確認できないものになっている」と再び安倍首相に問うと、首相は財務省の責任を強調するように言った。

 「口裏合わせの依頼という信じられないことが起こっている。こうした事態をしっかりと受け止めながら、財務省において説明責任を果たしていかなければならない」