以下、朝日新聞デジタル版(2018年6月19日05時00分)から。
ブロック塀の危険性が認識されるきっかけは、1978年6月に発生した宮城県沖地震だ。同県によると、倒壊が相次ぎ、18人が犠牲になった。この地震を教訓に、81年の建築基準法改正に併せ、塀の高さの上限は3メートルから2・2メートルに下げられた。
だが、その後も対策が不十分なブロック塀は多く、2005年3月の福岡沖地震で倒壊によって1人が死亡。16年4月の熊本地震では益城(ましき)町で2人が下敷きになり、1人が死亡した。
教育現場での対策はどうか。文部科学省はこれまでも校舎や体育館の耐震化を促し、取り組みの状況を調査。17年4月現在、公立小中学校の約11万6千棟の建物のうち98・8%が耐震化されていたほか、講堂などの「つり天井」の落下防止対策も97・1%の建物で済んでいた。
しかしブロック塀は、この調査の対象外だった。
高槻市教委によると、倒壊した寿栄小のブロック塀は地面からの高さが全体で3・5メートル。建築基準法施行令では、高さが1・2メートルを超す塀は一定の間隔ごとに強度を高めるための「控え壁」を設置することが定められている。今回の塀は、控え壁がないことに加え、高さも「2・2メートル以下」という基準を超えていたという。
福岡大の古賀一八教授(建築防災学)は、熊本地震後に益城町内のブロック塀258カ所を調査。基準を満たさない塀は、230カ所(89・1%)だった。昨年調べた福岡市内の通学路でも、645カ所のうち、95%が基準未満。控え壁は69%で必要だったが、1%しか設けていなかった。
古賀教授は「多くの地域で対策が取られていない。住宅の耐震基準のように、ブロック塀にも安全基準があることが一般に知られていないのが問題だ」と指摘する。