以下、朝日新聞デジタル版(2020/11/9 18:25)から。
東日本大震災で被災した東北電力の女川原発2号機の再稼働について、地元宮城県内の市町村長会議は9日、立地自治体である女川町、石巻市、宮城県の3者会談に判断を委ねることを決めた。関係者によると、村井嘉浩知事は3者会談を11日に開き、再稼働への同意を表明する。再稼働に向けた手続きは節目を迎える。
2011年の震災で被災した原発の再稼働に地元が同意するのは初めて。東京電力の福島第一原発と同じ沸騰水型炉(BWR)であり、BWRの再稼働への地元同意も初めてになる。
再稼働は東北電力が安全対策工事を終える予定の2023年にもあり得る。震災後に再稼働した原発はすべて加圧水型炉(PWR)で、西日本にある。女川の再稼働は、東日本で最初となる可能性がある。
女川2号機(出力82・5万キロワット)の再稼働をめぐって宮城県は9日、県内の全市町村長を集め、意見を聞いた。
避難計画が不十分として30キロ圏の美里町長らが反対意見を述べたが、「立地自治体の判断を尊重するべきだ」との意見も相次いだ。知事は同意を今月中旬に表明し、その後、梶山弘志経済産業相に伝える見通しだ。県議会は、地域経済への波及効果を期待して再稼働を求める女川町商工会の請願を10月22日に採択していた。
東北電力は標高29メートルの防潮堤をつくるなどの対策をまとめている。今年2月、新しい規制基準に適合すると原子力規制委員会から認められた。3月には、再稼働に同意するよう経産相が知事に要請していた。
東北電力の樋口康二郎社長は10月28日の定例記者会見で「再稼働を求める地元の皆さまの声を受け止め、発電所の安全性向上に取り組む」と話していた。(徳島慎也、岡本進)
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女川原発 東日本大震災の震源から約130キロ。震災時には高さ13メートルの津波に襲われ、13・8メートルの敷地は、ぎりぎり津波をかぶらなかった。2号機では原子炉を冷やす設備の一部が使えなくなり、原子炉建屋で1千カ所以上のひび割れが見つかった。1号機は2018年に廃炉が決定。3号機は再稼働に向けた審査の申請を準備している。
(徳島慎也、岡本進)