以下、朝日新聞デジタル版(2018年8月8日21時33分)から。
膵(すい)がんを公表し、治療を続けていた沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事が8日、沖縄県浦添市の病院で死去した。67歳だった。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に強く反対し、保革を超えて移設反対派の支持を得てきた。葬儀の日程などは未定。
翁長氏は那覇市議や県議を務めた後、2000年に那覇市長に初当選。4期目の途中の14年11月の県知事選で、辺野古移設反対を掲げ、当時の現職に約10万票の大差をつけて初当選した。知事就任後も一貫して移設反対を訴え続け、安倍政権と激しく対立してきた。
翁長氏の死去に伴い、11月18日投開票の県知事選は、前倒しされる。公職選挙法は、首長が死亡した場合、死亡から5日以内に職務代理者が選挙管理委員会に通知し、そこから50日以内に選挙を実施すると定めており、9月にも実施されるとみられる。
翁長氏の体調については、謝花(じゃはな)喜一郎副知事が死去の連絡を受ける前の8日午後5時から県庁で会見し、「意識が混濁状態になっている」と説明。8日以降は謝花氏と富川盛武副知事が知事の職務代理を務めると発表していた。謝花氏によると、翁長氏は7日から徐々に意思決定に支障が出てきていた。4日に謝花氏らと面会した際には、がんが肝臓に転移していると明かしたという。
翁長氏は4月に人間ドックを受けた際に精密検査が必要と指摘された。膵臓(すいぞう)に腫瘍(しゅよう)が見つかり、切除手術を受けた。再発を抑える抗がん剤治療を受けながら県議会6月定例会や、6月23日の沖縄全戦没者追悼式に出席していた。
辺野古移設をめぐっては、7月27日に県庁で会見し、前知事による辺野古の埋め立て承認を撤回する手続きに入ると表明。土砂投入前の8月中旬に撤回に踏み切ることを目指し、9日に沖縄防衛局側の反論を聴く「聴聞」を予定するなど、作業を進めていた。謝花氏によると、撤回するかどうかの判断は、知事の職務代理者でも可能という。
一方、翁長氏は知事選について、2期目を目指して立候補するかどうか態度を明らかにしてこなかった。だが「移設反対」を掲げて保守中道層の支持を集められる候補は翁長氏以外いないとして、共産や社民など県議会与党は、9月県議会での立候補表明を前提に準備を進めていた。