「柴山文科相、教育勅語「アレンジし道徳に使える分野も」」

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 以下、朝日新聞デジタル版(2018年10月3日19時18分)から。

 内閣改造で2日に就任した柴山昌彦文部科学相が会見で教育勅語の認識を問われ、「現代風に解釈され、アレンジした形で、道徳などに使うことができる分野は十分にある」と述べた。教育勅語は戦後、日本国憲法と相いれないとして国会で排除・失効が決議されており、野党からは批判が出ている。

 発言のきっかけは、柴山氏が8月、ツイッターに「戦後教育や憲法のあり方がバランスを欠いていたと感じています」と投稿したこと。山口県の島で行方不明になった2歳児を保護した男性を紹介する記事と併せて「自己中心社会にあって、こうした無私の取組みをたたえるべきでないのか」と柴山氏が投稿し、「無私の取り組みをする国民を増やすためにどうしたらいいですか」と質問が寄せられたことへの回答だった。

 就任会見で趣旨を聞かれ、柴山氏は「戦前は義務や規律が過度に強調されたことへの反動として自由や権利に重きを置いた教育、個人の自由を最大の価値とする憲法が制定された」とし、「権利とともに、義務や規律も教えていかないといけない」と述べた。

 さらに過去の文科相教育勅語を「(中身は)至極まっとう」と評価したことについて問われ、「現代風に解釈され、あるいはアレンジした形で、道徳などに使うことができる分野というのは十分にある。普遍性をもっている部分がみてとれる」と発言。使える部分として「同胞を大切にするとか、国際的な協調を重んじるとか、基本的な記載内容」を挙げた。

 明治天皇の名前で1890(明治23)年に発布された教育勅語は、親孝行や友愛などの徳目からなり、滅私奉公を求める戦前の教育の中心とされたが、戦後に国会で失効が決議された。安倍内閣は昨年3月、「勅語を我が国の教育の唯一の根本とするような指導」を不適切とした一方で、「憲法教育基本法等に反しない形で教材として用いることまでは否定されることではない」という答弁書閣議決定している。

 道徳は小学校で今春から、中学校で来春から「特別の教科」に位置づけられ、評価の対象となっている。学習指導要領では教える項目に「友情、信頼」や「国際理解、国際親善」などが盛り込まれている。(矢島大輔)