以下、朝日新聞デジタル版(2019年8月2日10時0分)から。
発足直後の参院選で比例区228万票、2議席――。山本太郎氏が代表を務める「れいわ新選組」が残した結果は、この国の政治に何を問いかけるのか。そして山本太郎とは何者か?
映画作家の想田和弘さん、政治学者の菅原琢さん、千葉大教授の水島治郎さんが山本太郎氏の現象を読み解きます。
想田和弘さん(映画作家)
私は安倍政権誕生以降の日本社会を「熱狂なきファシズム」が広がっていると批判してきました。政権が独裁的な手法で、安保法制をはじめ、憲法上疑義のある法律を通しても有権者は無関心と黙認を繰り返し、選挙のたびに与党を勝たせてきた。絶望に近い感覚すらありましたが、今回のれいわ新選組の勢いに明るい未来の可能性を久しぶりに感じました。山本太郎氏は、東京電力福島第一原発の事故をきっかけに俳優から政治家に転身しました。「脱原発」の主張を訴え、テレビ局やスポンサーに「干された」。仕事を失ったわけです。その彼が、れいわを立ち上げ、タウンミーティングでの対話のような街頭演説を始めた。演説に感動した人たちが彼の挑戦を個人献金で支えようとした。献金額が1億円を超えたと報道で聞き、ただごとじゃないと思いました。
(後略)