「買ってきて横浜、カジノ誘致の方向 山下ふ頭、候補地か IR」

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以下、朝日新聞デジタル版(2019年8月20日5時0分)から。

 横浜市が、カジノを含む統合型リゾート(IR)を誘致する方向で調整していることが、市関係者への取材でわかった。東京都心や羽田空港からの交通の便がよい横浜港・山下ふ頭(同市中区、47ヘクタール)が候補地とみられる。ただ、IR誘致には市民の間や議会内で反対論も根強く、林文子市長が正式表明に踏み切れば激しい反発も予想される。

 ■9月議会へ予算案

 市関係者によると、市は9月の市議会定例会に、IR関連の約3億円の補正予算案を出す方向で最終調整している。可決されれば、誘致に向けた具体的な検討に入る見通し。

 林市長は一時、誘致に前向きだったが、2017年の市長選を前に「白紙の状態」と慎重姿勢に転じた。一方、昨年7月のIR実施法成立後、IRに関心がある民間事業者から構想案を公募。「白紙」の姿勢を維持しつつ、IRに関する情報を集めてきた。公募には12事業者が提案を寄せ、投資見込み額を1兆3千億円とするものもあった。

 IR誘致を巡っては、横浜商工会議所などが経済活性化や観光消費につながると推進の姿勢を見せるが、市民にはギャンブル依存症や治安悪化などへの懸念からカジノに反対する意見が多い。さらに、山下ふ頭を利用する企業が加盟する横浜港運協会(藤木幸夫会長)が強く反対している。(武井宏之

 ■大阪・和歌山・愛知・長崎・北海道、誘致争う

 政府はIRを国内3カ所まで整備する方針を示しており、誘致の動きは全国で活発化している。

 大阪府・市は今年2月、IR事業者の公募指針となる大阪IR基本構想案をまとめ、事業者の選定作業に着手。「本命」として国内外の7事業者が参加登録するなど、誘致が既定路線化している。横浜市が誘致を表明するとの報道を受け、大阪府の吉村洋文知事は「首都圏に1カ所というのは当初から想定していた」と述べた上で、「(横浜などと)切磋琢磨(せっさたくま)しながら、世界に誇れるIRを実現したい」と語った。

 和歌山県和歌山市の人工島を候補地に誘致計画を進めている。5月には弁護士やギャンブル依存症対策の専門家らを集めた有識者会議を設置し、仏大手カジノ事業者も市内に事務所を開いた。他に中部空港島での誘致を構想する愛知県、テーマパーク「ハウステンボス」を核としたIR誘致を目指す長崎県、3市村の候補地から苫小牧市が最も集客が見込めると試算した北海道で計画が進んでいる。

 政府は秋以降、規制・監督機関となる「カジノ管理委員会」を設置するとともに、国土交通相が管理委の意見を聞いて整備の意義や目標を定める「基本方針」を策定する。この基本方針を踏まえ、都道府県や政令指定市とカジノ事業者が作る「整備計画」を審査し、全国で最大3カ所の設置場所を決める。開業について国は2020年代前半をめどとしている。(坂本純也、小峰健二)