'Jackie Robinson I Never Had It Made'を読んだ(1)

f:id:amamu:20200827223955p:plain
I Never Had It Made

  黒人初大リーガーとして知られるジャッキー・ロビンソン(Jackie Robinson)。メジャーリーグのロサンゼルスドジャーズで活躍し、彼の背番号42は永久欠番となった。野球殿堂入りし、大リーグの全選手が、ジャッキー・ロビンソンの背番号42番を身につけてプレーするJackie Robinson Day もMLBファンにはお馴染みだろう。

  ジャッキー・ロビンソンを扱った自伝的映画はジャッキー・ロビンソン自身が自演した古い映画もあるが、ハリソン・フォードがブランチ・リッキーを演じた映画「42」も実にいい映画だ。

  映画をみて'Jackie Robinson I Never Had It Made'*1を買っておいたのだが、読みきっていなかった。

  今回本書を読み終えて思ったのは、本書の内容構成が大雑把に言えば、野球が4割、ビジネスが3割、政治が3割。それらを貫いて家族のことがしっかり書かれているということだ。

  それで本書のタイトルにも表現されているのだが、MLBに黒人の野球選手がいなかった時代に、白人ばかりの野球界に黒人であることの意味。その後、ジャッキー・ロビンソンが生きた時代。そうした時代に黒人であることの意味を考えさせられた。白人社会の中で黒人であること、それが本書を貫くテーマであることは間違いない。

  本書の読後感の感想をいくつか紹介しておこう。

*1:'have it made'は難訳語のひとつ。例えばサイデンステッカー・松本道弘「最新日米口語辞典」p.735には、口語の'have it made'を「左うちわ」と訳している。また松本道弘「斬れる英語表現325」では、'really had it made'に「見事にやってのける」という訳語が与えられている。ニュアンスを汲み取って訳すならば、'I Never Had It Made'は、「(成功はしたけれど)恵まれていたわけではなかった」というところか。