先日「抗議の片ひざ」の記事が朝日新聞に載っていた。
この「片ひざ」をつくは、英語で"take a knee"という*1。
イギリスの大衆タブロイド紙「ザ・サン」に、以下の記事があった。
David Byrne と Spike Lee監督による傑作コンサート映画「アメリカンユートピア」においても、2016年8月に人種差別に抗議しプレイできなくなったアメリカンフットボールのコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)選手が写真でステージに登場していた。
コリン・キャパニック選手は49ersの有能なクォーターバックだった。以下は、素晴らしい彼のトップ10とされているプレイの一端。
Colin Kaepernick | Top 10 Career Plays - YouTube
ところで、こうしたスポーツにおける抗議は、コリン・キャパニック選手の抗議の意義の評価を低めるものでは全くないが、コリン・キャパニック選手が初めてではない*2。
以下は、雑誌タイムの記事。
スポーツにおける抗議をおこなった選手の一例は、私は知らなかったが、たとえば1906年のピーター・オーコーナー(Peter O'Connor)選手。彼は黒人選手ではない。アイルランド出身の陸上選手だが、当時アイルランド代表としては参加できずイギリス代表としてしか参加できなかったため、走り幅跳びの銀メダルの表彰台でアイルランドの旗を振るという抗議をおこなった。
また1936年のアメリカ合州国の男子陸上競技のジェシー・オーエンス(Jesse Owens)選手。彼は、アーリア人の優秀性を宣伝したかったヒットラーのベルリンオリンピックで人種差別とスポーツの政治利用に対して闘わざるをえなかった。
彼の話は、未見だが映画「栄光のランナー1936ベルリン」(Race)になっている。この映画の原題は"Race"。もちろんこれは陸上競技の試合(race)と、人種(race)のふたつの意味をかけている題名になっている。
Jesse Owens & Athletes Who Protest (or Don't) | The New York Public Library (nypl.org)
アメリカ合州国のヘビー級ボクサーモハマド・アリ(Muhammad Ali)の闘いはいつ見ても感動的だが、アリは、60年代にベトナム戦争に抗議して、徴兵に応じなかったため、無敗のままヘビー級のチャンピオンベルトをはく奪された。3年7カ月もの間ボクシングをすることも許されなかった。リング外でもアリは闘わざるをえなかった。またその戦いはすさまじいものであった。
モハマド・アリの言語能力が非常に高く、コミュニケーターとしての能力もずば抜けているものがあるのも当然だ。
1968年のメキシコオリンピックで、表彰台で人種差別に抗議して拳を突き上げたアメリカ合州国の男子陸上競技選手ジョン・カルロス(John Carlos)とトミー・スミス(Tommie Smith)。こちらも有名な話だ。
Tommie Smith and John Carlos | Arthur Ashe Legacy (ucla.edu)
さらに、連帯し、迫害を受けたオーストラリアの銀メダリストピーター・ノーマン選手の話。これは知らなかった。
不勉強でよく知らなかったのだが、NBAで活躍し1996年にアメリカ国歌に抵抗を示したマクムゥード・アブドゥル=ラウーフ(Mahmoud Abdul-Rauf)選手。
さらに不勉強でよく知らないのだが、以下の選手の名前もあがっていた。
2014 Le Bron James, Kyrie Irving, Jarret Jack, and Kevin Garnett
2014 "Hands Up, Don't Shoot" (the protest in Ferguson)
2014 Ariyana Smith
つまり、こうしたリストをつくろうとすると、際限がない*3。
2016年のアメリカ合州国のアメリカンフットボール選手コリン・キャパニック(Colin Kaerpernick)選手による抗議行動は、こうした長年にわたる闘いの伝統の延長線上にあると言わざるをえない。
アメリカンフットボールの世界で忌避されたコリン・キャパニック選手。スポーツ関連商品を扱う有名ブランドのナイキがコリン・キャパニック選手を2018年の新広告に起用した。トランプ元大統領が不敬なスポーツ選手を首にしろと叫んだことは記憶に新しい。