Neil Youngの”Homegrown”

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Homegrown

 "Homegrown" (2020)の1曲目。'Separate Ways'。

 未発表曲。

 "I won't apologize The light shone from in your eyes It isn't gone And it will soon come back again "(謝りはしないよ 君の眼に照らされた光は 消えていないし すぐにまた戻ってくるだろう)という冒頭で始まる。"We go our separate ways  Lookin' for better days"(より良き日を求めて俺と君はそれぞれの道を行く)

 Carrie Snodgressとの別れの唄。Neil Young にとっての初めての子(男子)*1も歌われている。

 "Me for me, you for you Happiness is never through It's only a change of ways And that is nothing new"(俺は俺のために 君は君のために 幸せが尽きることはない あり方が違うだけ そしてそれは目新しいことじゃない)

 "Homegrown"の2曲目。'Try'。

 未発表曲。

 努力すれば仲良くなるための時間はあると楽観的に歌われる。Carrie Snodgressの母親がよく言っていたフレーズ(“Shit, Mary, I can’t dance.”)が入っているという解説を読んだ。

 "Homegrown"の3曲目。'Mexico'。

 未発表曲。

   アルバム"Homegrown"には、タイトルに地名がつけられた曲が3曲ある。'Mexico'はそのうちの一曲。

 歌詞は短いのでイメージしかわからないが、人間関係のむずかしさ、愛の葛藤が冒頭で触れられて、気晴らしを求めるように、メキシコに行こうと歌われる。

 "Homegrown"の4曲目。'Love Is A Rose'。

 Linda Ronstadtがカバーしてリリースしたのが先だったと思う(1975)。Neil Young自身も"Decade"(1977)で発表している。

 愛はバラ。でも摘んではいけないよ。摘んだら枯れてしまうから。手をトゲだらけにして、失って愛しいと初めて知る。「自分のもの」と言ってしまったときに愛を失うんだと歌われる。

  教訓を教える寓話のような雰囲気がある。

 "Homegrown"の5曲目。'Homegrown'。

 すでに"American Stars 'n Bars"(1977)で発表されている。

 homegrownとは「自家製」という意味だが、マリワナの自家栽培のことを言っているといわれている。演奏としては荒っぽい。この歌はCarrie Snodgressとは関係ないだろう。

 "Homegrown"の6曲目。'Florida'。

 未発表。アルバム中一番の異色はこれだろう。地名の三曲のうちの一曲。ただしこれは曲ではなく、Neil Youngのナレーションによるパフォーマンス。

 赤ん坊をめぐっての口論が展開されるが、匿名の女性がCarrie Snodgressで、Neil Youngとの間で赤ん坊を取り合っているのではないかという解釈がある。

 "Homegrown"の7曲目。'Kansas'。

 未発表曲。地名の3曲のうちの1曲。けれども歌詞の中でKansasと関連する語句は見当たらない。

 一夜限りの男女のことを歌っている。これが本当のことかどうかわからないが、Neil Youngのことだとすればわかりやすい。

 "Homegrown"の8曲目。'We Don't Smoke It No More'。

 未発表曲。

 ドラッグのブルース。この歌もCarrie Snodgressとは関係がない。

 "Homegrown"の9曲目。'White Line'。

    'Mexico'でもツアーを彷彿とさせる一行があるが、70年代、Neil Youngはツアーが多かった。

   この曲では、匿名の相手との愛が語られ、その後、真の愛に向かって道を進んで行くさまが描かれている。ここでの「真の愛」(true love)とは何か。それはもしかして人でなく音楽ではないかという解釈がある。white line*2は、文字通り道路の「白線」なのだろう。

 While Lineは、アルバム"Ragged Glory"(1990)ではCrazy Horse versionが聞ける。文脈がないとわかりにくいが、相手(you)をCarrie Snodgress、自分(I)をNeil Youngに置きかえ、町から町へのツアー中という文脈で聞いてみるとわかりやすい。

 The Band のRobie Robertsonがアコースティックギターで参加しているが、これもCSNYのコンサートツアー中のロンドンでの録音のようだ。

 "Homegrown"の10曲目。'Vacancy'。

 未発表曲。

 アルバム中演奏としても充実した一曲。'Who are you?'(お前は誰だ)と力強く始まる。二人の女性が登場する印象があるが、一人の女性の変化を歌っている。つまりCarrie Snodgressのことを歌ったものと考えられる。

 "Homegrown"の11曲目。'Little Wing'。

 'Little Wing'はすでにアルバム"Hawks & Doves"(1980)で発表されている。

    別れをイメージしていると考えられる。

 "Homegrown"の12曲目。'Star Of Bethlehem'。

    Star of Bethlehemは、いわゆるクリスマスの星。

 すでに"American Stars 'n Bars"(1977)に収録されている。

   過ぎ去った過去の楽しい思い出。過去の恋人。でもまだ光はある。いやそれは幻想かもしれないといったイメージか。

 美しい一曲。

*1:多分初めての子Zekeのことを指す。

*2:whilte lineがcocaineを意味することがあるようだ。