「近所に警察、消える住民…軍政の恐怖「またあの闇が」」

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以下、朝日新聞デジタル版(2021/2/6 20:30)から。

 8日で発生から1週間となるミャンマー国軍のクーデターは、アウンサンスーチー国家顧問らを拘束したままで、10年近く続いた民政を根底から崩す可能性がある。半世紀以上続いた軍主導の政治に苦しめられた人たちは日本にもいる。「暗黒の時代に戻してはいけない」と声を上げる。

 「人の命が平気で奪われるようなことが繰り返されるのではないか」。2007年9月、ミャンマーの最大都市ヤンゴンでデモを取材中、軍の銃撃で殺害されたフリージャーナリストの長井健司さん(当時50)の妹、小川典子さん(61)=愛媛県今治市=は言葉に力を込めた。当時、テレビニュースのテロップで兄と同姓同名の日本人がミャンマーで死亡したと知り、直後に外務省から連絡を受けた。「何が何だかわからなかった」という。

 僧侶らのデモをハンディーカメラにおさめていた長井さんは、倒れてもそのままカメラを回し続けた。当時の軍事政権は「流れ弾に当たった不幸な事故だ」と結論づけた。だが、長井さんが倒れる瞬間を撮影した映像には、近くで銃を構える兵士が映っていた。日本の警察の司法解剖では「腰の位置に地面と平行に構えたライフル系の銃で至近距離から撃たれた」と判断された。

 小川さんが外務省を通じて軍政に抗議すると、「ビデオはCG(コンピューターグラフィックス)だ」などという反応しかなかった。長井さんが最後まで手にしていたカメラは「見つからない」という理由で返却されていない。

 (後略)

(染田屋竜太)