'I had always dreamed of owing a Ferrari.'(会話)の過去完了のニュアンス

英文法の重要項目として知られている過去完了は、過去の時間の中のある一点(時期・時間)を基軸にして、その時点までのことを叙述すると説明されるだろう。
過去完了の前に習うと思われる現在完了は、その時間的基軸は現在が機軸となる。少し機械的だが、現在完了と過去完了とは時間軸がスライドすると説明して教えることが多いだろう。それは間違いではない。

そもそもの問題は、日本語と英語とでは、とらえかた・認識のしかた・時間的切り口が違うのである。

例えば、30分のテレビ番組で、その終わりに「提供はABC会社でした」と言うとしよう。

この「でした」は「過去」の一点(時期・時間)ではなく、「30分前よりずっと今の今まで」という切り口であることから英語では例えば次のように言う。

'This program has been brought to you by ABC Corporation.'

「提供は(30分間)ずっとABC会社でした」と日本語ではもちろん言わない。アスペクトというべきなのか、そこが難しい。

だから現在完了と過去完了を初学者に教えるときは、時制の一致の練習などをたくさんやることになり機械的な指導になりがちだ。しかしそれは仕方がない。

さて、ここからが本題。'Speak English with Vannesa'という人気YouTuberのYouTubeを見ていたら、以下の表現に遭遇した。

'For my whole life, I had always dreamed of owing a Ferrari.'

「私は人生でずっとフェラーリを所有することを夢見てきた」という意味なのだが、現在の時点での発言(会話)だから、「なんで過去完了なの」「現在完了じゃダメなの」「なんで過去完了が使えるの」と素朴な質問が出るかもしれない。

ヴァネッサさんのYouTubeの字幕には以下のようにあった。

Past Perfect tense

continual action in the past that isn't continuing now

すなわち、今が基本の会話で、過去完了を使うことによって、過去のある一点を想定し、「過去においては継続していたけれど今は継続していない」というニュアンスを表現できるのである。そうして、言外に「いま」を表現できるのである。
 明るいヴァネッサさんの説明では、ポジティブな調子で今ようやくフェラーリを手にいれたからと説明していたが、意地悪く言えば、もうひとつの可能性としては夢を諦めたのかもしれない。これはポジティブかネガティブでニュアンスが違ってくる。それはともかく、会話だから今の時間が基本であるにもかかわらず、過去完了を使うことで、やはり、過去のある一点に時間軸を置いて、「現在の状況」を表せる。そうした行間の表現の豊かさを感じたいものだ。

ネット上に関連性のある別の例があったので、以下、紹介しておく。

https://www.quora.com/When-do-we-use-I-had-always-dreamed-of-it-Why-is-the-sentence-not-Ive-always-been-dreaming-of-it