以下、リテラ(2021.06.18 08:48)より。
東京五輪について、信じられないような事実がまたも判明した。東京五輪の競技会場への子ども動員問題で、なんと東京都が観戦を区市町村にキャンセルさせないよう、キャンセル受付の文書を「隠蔽」していた、というのだ。
まず、おさらいしておくと、東京五輪組織委員会は競技会場のある自治体や東日本大震災の被災地など全国の小中高校や特別支援学校などを対象に「学校連携観戦チケット」を用意。延期決定前までにオリンピックで60万枚、パラリンピックで68万枚、合計128万人分のチケット購入希望が寄せられていた。
新型コロナの影響を鑑み、当然なくなったと思われていたこの子どもたちの観戦計画だったが、東京都はコロナ下でも予定どおり都内の幼稚園児や小・中・高校生など約81万人を動員する方針であることを4月に「しんぶん赤旗日曜版」がスクープ。大きな問題となってきた。
そして、この子ども五輪動員に批判が殺到したことを受けて、組織委は5月末、東京都や関係自治体、東日本大震災被災3県の学校連携観戦チケット担当者に向けて「学校連携観戦チケットに係る今後の対応について」と題した文書を送付。そこにはこう記されていた。
〈観客上限等が定まらない中ではございますが、手続き上の理由から観戦ができなくなるということがないよう、今後、団体入場証(来場グループごとのグループチケット)を発券するために必要な手続きに入らせていただきたいと存じます。自治体様におかれましては、キャンセルの有無も含め、6月23日までに最終的なご参加人数をご検討いただきますようお願い申し上げます。〉
さらに、この文書では6月1日〜23日までを〈チケットの追加キャンセル受付期間〉、6月24日を〈支払い期日〉とし、7月には〈入金確認後、チケット送付(団体入場証)〉と書いていた。つまり、組織委は6月23日まではキャンセルが可能だと通達をおこなっていたのだ。
実際、この「キャンセル受付」の開始を受けて、埼玉県や神奈川県、千葉県などからはキャンセルが相次ぎ、たとえば埼玉県さいたま市では中学校2・3年生や引率の教員らにサッカーやバスケットボールの観戦チケット約2万3000枚が割り当てられていたが、これをすべて辞退(朝日新聞11日付)。NHKの16日の報道では、埼玉・神奈川・千葉の3県で合計48の自治体がキャンセルする意向を示しているとのことだった。
ところが、このように首都圏の自治体からキャンセルが続出していることは報じられるのに、なぜか東京都の自治体からキャンセルの意向が示されたという報道はなし。これは一体どういうことなのかと思っていたら、なんと、その答えは信じられないものだった。そう。東京都は自治体・学校に対してキャンセルするか否かの意向確認をおこなわず、このキャンセル受付の文書自体、区市町村に通知さえしていないのだ。
この問題を取り上げた「しんぶん赤旗日曜版」6月20日号の取材に対し、〈都は、組織委から文書が届いていることを認め〉たというが、キャンセル受付文書について〈「参考送付」であるとして、区市町村には通知していないと回答〉したのだ。
じつはNHKも自治体からのキャンセル状況を伝えた際、「東京は意向確認をおこなっていないため辞退の学校があるかはわかっていない」と短く伝えていた(16日放送『首都圏ネットワーク』)。だが、まさか組織委から発出されていたキャンセル受付の文書すら通知していなかったとは──。
(後略)