ところで、インターネットにinternet.archive.orgというサイトがある。
http://www.archive.org/
インターネットアーカイブは、インターネットサイトとデジタルの他の加工品のデジタル資料の構築に努めていて、紙ベースの資料のように、研究者、歴史家、学者、公共一般のために、無料アクセスを提供しているサイトだ。(“The Internet Archive is building a digital library of Internet sites and other cultural artifacts in digital form. Like a paper library, we provide free access to researchers, historians, scholars, and the general public.”)
すでに故人となってしまったけれど、ジェリー=ガルシア(Jerry Garcia)が率いたグレイトフルデッド(The Gratetful Dead)のライブコンサートの音源データなどもここに大量に格納されていて、なんと無料でダウンロードできるようになっている。
私が初めて外国に住んだのは、サンフランシスコに半年間滞在したときで、これはもう23年も前のことになるのだが、サンフランシスコのマーケット大通りのマンションの一室を借りて住み、バークレー大学のサンフランシスコ分校で英語集中講座を受講していた。
その頃の私の楽しみのひとつは、なんといってもグレイトアメリカンミュージックホール(The Great American Music Hall)というライブハウスに通うことだった。
http://www.slimspresents.com/venue_detail/gamh/
http://www.rockandrollroadmap.com/places/where-they-played/san-francisco-area/great-american-music-hall
このグレイトアメリカンミュージックホールには歩いて行くことができて、デビッド=クロスビー(David Crosby)のソロコンサートや、ジャズヴァイオリニストのステファン=グラッペリのコンサートなどをここでよく観た。
グレイトアメリカンミュージックホールは、昔のオペラハウスのような箱で、雰囲気がとてもいい。オールマンブラザーズは少し大きめのウォーフィールド劇場で、バークレー大学構内にある野外のグリークシアターでは「ブレッドアンドローズ」のコンサートを、カウパレスという大きな体育館のようなところでは、ロッド=スチュワートなどを観た。それからよく通ったのが、サンフランシスコ湾の波止場に近いストーン(The Stone)という暗く怪しげなライブハウス。ここで、グレイトフルデッド(The Grateful Dead)のライブを何回観たことだろう。
サンフランシスコは、規模として歩ける街で、バスも地下鉄もケーブルカーまであるから足の便利な街だ。その上、ご近所でいい音楽が聞けて、うまいスープとローストビーフが食える、俺にとってはものすごくいい街だった。アレン=ギンズバーグなんかのビートジェネレーション世代の詩集も、シティ・ライツ(City Lights)という有名な古本屋さんで買ったりもした。
話題に戻るが、音源データで無料のものの定番はなんといってもMP3ということらしいが、インターネットアーカイブのサイトには、FLACファイルなんていうのもあって、これがまた別のプレーヤーでないと聞けないと説明があったので、初めてWinampというプレーヤーをダウンロードしてみた。
このWinampは、有料のダウンロードサービスもあるけれども、機能を制限した無料ソフトウェアのダウンロードもあるから、これをダウンロードすれば、グレイトフルデッドのライブコンサートなどが無料で聴けるというわけである。
試しに87年の2時間ほどのライブコンサートをダウンロードしてみて、Winampでこれを聞いてみると、このWinampという奴は結構音がいい。
アメリカ合州国の音楽愛好家の知人にこの辺の事情をメールで聞いてみたら、あらゆる種類の情報に無料でアクセスできるようにするため、アメリカ合州国では大企業間の競争が激しいという。ただ彼にいわせると、アメリカ合州国は伝統的に公共的に資料を共有しようという姿勢が弱いので、無料であたれる資料は少ないという。これで少ないのかという感じだが、このウィンアンプはウィンドウズ用のプレーヤーのひとつだけれど、ウィンドウズプレーヤー用にはたくさんあって、どれがウィンドウズ用のプレーヤーとして最高で、人気があるのか、追いかけるのは大変だという。
フラックファイルというファイルは、新しいフォーマットで、まだそれほど広まっていないようだ。ただフラックファイルに急激に人気が出ているわけは、MP3のファイルよりも音がいいからだという。
さまざまなファイルとさまざまなプレーヤーがあるので、どれが最高でどれが最も人気があるかを指摘することは大変困難だけれど、ウィンアンプのいい点は、フラックファイルのような新しいファイルフォーマットを採用するのに大抵一番早いソフトウェアだったということらしい。
データとして大きいのでダウンロードするのにちょいと時間はかかったが、グレイトフルデッド(The Grateful Dead)やニール=ヤング(Neil Young)のライブが無料で聞けるのだ。文句は言えない。