垣根を刈り込む

 マーガレットとジェフが昨日から眼の治療のためにタラナキからハミルトンに帰省している。
 彼らは教師夫婦だ。おみやげは、21キロもの牛肉。
 携帯用のアイスボックス(chilly bin)に肉が一杯詰まっている。二頭ほど、殺したばかりで、皮をはぎ、一週間くらい血を抜いてから、カットしてきたという。
 彼らは、牛肉食い(beef eater)で、われわれは、魚食い(fish eater)なわけだが、肉といっても、さすがに我々とは量も質も違う。
 午後は、アレックスが垣根を刈り込んでいるので、少し手伝う。
 簡易脚立を2つ*1用意し、板をそこに乗せて足場をつくり、高いところで、電動のこぎりで垣根を刈り込む。
 74歳とは思えない仕事ぶりだ。
 床屋での散髪の後のように、刈り込まれた枝葉を手押し車(barrow)で運ぶ。
 隣の家のニックも車で帰ってきた。挨拶をすると、ニックが微笑んだ。
 ロサンゼルスでは、豪邸で素晴らしい台所がありながら、ほとんど調理も皿洗いもしない様子をながめて、消費社会の最後の姿を見た様な気になった*2。これからすると、ニュージーランドは、あいも変わらず、「自分のことは自分でする」(Do It Yourself)の社会である。
 どっちがいいかと言われば、私は、「消費社会のなれの果て」のような合州国よりは、「自分のことは自分でする」ニュージーランドの方が断然面白いように思える。
 ニュージーランドスローライフは悪くない。

*1:この脚立の一つは、お隣のニックの家から借りてくる。脚立は、二つないと台にならないが、一軒で二つの脚立を持つことは、無駄である。昔の日本も、こうした貸し借りが頻繁な社会だったが、今は自分の家だけで、何でもやろうとするから、無駄な出費も多い。日常的にお隣さんと話し合っていれば、助け合いの精神で、無駄も省けるというものだ。

*2:短期ではあったが、先のロサンゼルス滞在の経験から私は、アメリカ合州国の消費社会を「消費社会のなれの果て」と命名してみた。