トラウトのスモークの仕方

鱒を燻す

 昨日の夕方にロトルアからハミルトンに帰ったのだが、今回の全走行距離は283キロほどだった。
 さて、今回大成功をおさめた私のフライフィッシングだが、釣り上げた鱒の調理方法を紹介しよう。
 まず、鱒のさばき方だが、尾っぽの方からお腹に包丁を入れ、頭の方に向けてさらに包丁を入れる。胸びれを切り落とさないように注意して頭を切り落とす。
 胸びれを切り落とさないようにするのは、ここに固い骨があり、スモークする際にその下に鉄くしを入れて吊るすためだ。胸びれがないと、吊るした際に、肉が破けて下に落ちてしまう。
 内蔵を取り出したら、背骨に沿って血だまりがあるのだが、これは、スプーンでかき出すと簡単だ。水で洗えばいいのだが、魚の肉を血で汚さないようにさばかないといけない。
 さらに、背骨の肉に包丁を入れて、開く。開いた際に、オレンジ色をしているほど新鮮な鱒であり、肉が白いほど新鮮でないとされている。
 こうして開いたものに、海塩と赤砂糖を適量ふりかけてまぶす。
 そして一日から二日ほど、鉄くしに刺して吊るして干すのだが、虫がよりつかないようにするために、蚊帳のようなもので開いた魚を被っておく。
 こうして表面を乾かした魚を、いよいよスモークする段階にうつる。
 スモークの仕方は、ソーダスト(saw dust)と呼ばれる木屑、チップスとも呼ばれるが、これを炎があがるように燃えないようにして、つまり煙がたくさん出るようにしてスモークする*1
 やり方は、火山のクレーターのように、真ん中に燃えた木屑が来るようにして、その周りに、木屑を置く。繰り返しになるけれど、燃えすぎないように、常に真ん中だけ燃やして、あとは、木屑を周囲にまいて煙がたくさん出るようにする。
 囲いの上には、ずた袋を何枚か置いて、煙が箱の中で充満するようにする。
 こうして6時間くらいスモークする*2
 スモークし終わった奴は、外がぱりぱりで、中の身は刺身を少しだけ固くしたような生っぽい感じになる。これでトラウトスモークの出来上がりだ。
 そのままなら、ビールのいいつまみになるし、サラダやポテトをサイドディッシュにすれば、メインディッシュにもなる。メインディッシュにする場合、スモークしたものをさらに焼く方が普通の調理法のようだ。
 アレックスと一緒に食べてみたが、このスモークは旨味が凝縮していて、とてもうまかった。自分で捕らえた奴を、庭でスモークして食べることができるということは、最高の幸せだ。

*1:公害問題から、クライストチャーチでは、暖炉やたき火は禁止になっている。先日のテレビ報道では、オークランドでも最近暖炉をどうすべきか議論になっているようだ。こうした中で、当然、暖炉よりも自動車の排気ガスをどうにかすべきだという議論もある。

*2:今回は1枚だけスモークしたが、魚は1枚でも10枚でも同じ分量のソーダストを使うことになる。ソーダスト自体はノコギリで材木を切った際の大鋸屑ほどの意味だから、値段的に高いものではない。