今回、フィールドワークを多少おこない、各地の歴史的記述がされている看板を読んで、そしていくつかの書籍を読んでみて感じたことは、まずワイカト土地戦争が明確に侵略(invasion)と明記されていることである*1。
フィールドワークの際にも、さまざまなキーウィと話をしたけれど、彼らはワイカト土地戦争に特に関心があるわけでもないし、また特に詳しい人がそれほど多いわけでもない。けれども、彼らの歴史認識は、とても普通だ。また書籍類を読んでみると、この辺の基本的事実に関わる歴史認識は、実に明確だ。
マイケル=キングの本によれば、ワイカト戦争の、いくつかの大きな戦闘と何十という小競り合いによって、1000名以上のマオリが、そして700名ものヨーロッパ人が死んだという。マオリにとっては、その死者数もさることながら、ワイカト戦争によって130万ヘクタールもの土地が没収されることとなったわけで、ニュージーランド政府にとってこれは福音だったろう。というのも、民兵や新しい移民に分け与える土地がこの戦争によって確保できたからである。
*1:“The invasion of Waikato began on 12 July 1863”と、マイケル=キング(Michael King)の著書"The Penguin History of New Zealand"にあるし、”...the British army, led by General Duncan Cameron, invaded the Waikato”との記述が、J.Bassett, K. Sinclair, M.Stenson著の”The Story of New Zealand”にもある。